音楽だけが世界語であり、翻訳される必要がない。そこにおいては魂が魂に話しかける。
バッハ
皆さん、魂に話しかけられてますか?
「パソコンからスマホに音楽ファイルを入れるのが面倒」「新しい曲を聴く機会が減った」という人もいるでしょう。
Appleが提供するApple Music(アップルミュージック)なら、月額980円で約6,000万曲の楽曲が聴き放題になります。Apple Musicは曲数が多いだけでなく、Appleらしい直感的な操作が可能です。さらに、新しい楽曲との出会いも提供してくれるので、重宝しています。
この記事では、SpotifyやAWA、Google Play Musicなど、有名どころの音楽聴き放題サービスはほぼ全て使ってきた経験を元に、Apple Musicの特徴や使用感を詳しく紹介していきます。
Apple Musicとは?
Apple Music(アップルミュージック)とは、Appleが開発した定額制音楽ストリーミング配信サービスです。
「サブスクリプション」と呼ばれる課金形態で、月に一定の料金を支払えば、約6,000万曲の音楽が聴き放題になるサービスです。MacやiPhoneに限らず、WindowsのPCやAndroidスマホでも利用できます。
- Apple Musicの概要
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- 運営会社 :Apple Inc.
- サービス開始:2015年6月30日
- 月額料金 :980円(個人)、1,480円(家族)、480円(学生)
- 無料期間 :3カ月間
- 曲数:約6,000万曲
- 音質:最大256kbps(通信状況に応じて自動調節)
iOSでは、「Apple Music」という専用アプリがある訳ではありません。iPhone等にデフォルトで入っている下記ロゴの「ミュージック」アプリの中からApple Musicを利用できます。
Apple Musicにはブラウザ版がありませんが、パソコンからは、iTunesをダウンロードすればApple Musicを使えます。
iTunes Storeとの違いは?~ダウンロードとストリーミングの違い~
Appleと言えば、iTunes。iTunes StoreとApple Musicって何が違うの?という方も多いでしょう。
両者の違いは、iTunes Storeが「ダウンロードサービス」なのに対して、Apple Musicは「ストリーミングサービス」な点です。
ダウンロードは楽曲を購入し、「所有する権利」を得ます。ダウンロードすると音楽ファイルは自分のモノになるので、そのファイルは自由にコピーできるし、iTunes Storeを退会しても楽曲は聴けます。
それに対し、ストリーミングは楽曲を「聴く権利」を得ます。ストリーミングでは、音声ファイルを所有していないので、音声ファイルをコピーできません。なので、Apple Musicを退会した後は、全ての曲が聴けなくなります。
聴ける曲数は約6,000万曲
Apple Musicでは、iTunes Storeの中から約6,000万曲が聴き放題になります。人気音楽配信ストリーミングサービスのSpotifyの5,000万曲、Google Play Musicの4,000万曲よりも多く、楽曲ラインナップは豊富です。
ただし、Apple Musicの公式オペレーターさんに問い合わせたところ「曲数は日々増えたり、減ったりしているので、正確な曲数は分かりません」との回答をいただきました。
使うには支払い情報登録済みのApple IDが必要
他社の音楽配信サービスでは、アカウントを登録すれば、すぐにサービスを使えます。しかし、Apple Musicを使うには、クレジットカードなどの「支払い情報の登録が済んでいるApple ID」が必須です。
Apple IDはAppleIDを作成 – Apple (日本)で取得できます。Apple IDを持っていなかったAndroidユーザーの私にとっては、少し面倒だと感じる仕様でした。
無料トライアル期間は業界最長の3カ月間
Apple Musicの無料トライアル期間は3カ月間とかなり太っ腹です。他社サービスの多くは無料体験期間が1週間~1カ月間なので、他社に比べるかなり長くお試しができます。お試しどころではなく、Apple Musicをたっぷりと楽しめます。
ただし、3カ月間を過ぎると自動的に有料会員に切り替わる点には注意が必要です。Apple Musicの解約方法については、別の記事で詳しくお伝えします。
Apple Musicには無料プランがない
多くの音楽配信サービスでは、制限はかかるものの、無料体験期間の終了後でも一部の機能は使えるところが多いです。曲の再生時間が30秒まで制限されたり、キャッシュ機能が使えなくなったりしますが、作成したプレイリストやお気に入り情報はそのまま残ったりします。
しかし、Apple Musicには無料プランがありません。なので、無料体験期間の終了後は一切のサービスが使えなくなります。「3か月も用意しているんだから、無料体験期間内に進退をハッキリと決めてください」ということかもしれません。
Apple Musicの3つの料金プランと支払い方法
Apple Musicの料金プランは以下の3種類があります。
- ①個人メンバーシップ:月額980円
- ②ファミリーメンバーシップ:月額1,480円
- ③学生メンバーシップ:月額480円
①標準的な「個人メンバーシップ」:月額980円
「個人メンバーシップ」は月額980円で、Apple Musicが1名だけ使えるプランです。他社サービスの月額も960円~980円程度なので、ほぼ横並びの料金設定になっています。
②家族以外の人とでも使える「ファミリーメンバーシップ」:月額1,480円
Apple Musicの「ファミリーメンバーシップ」は、6つのアカウントが発行されるので、最大6名までApple Musicを利用できます。「ファミリーメンバーシップ」という名前ですが、この6つのアカウントは家族以外の人と使ってもOKです。
Apple Musicを6名で使えば、1人あたりの月額はわずか247円になります。自分以外に1人でもいれば、月額料金は「個人メンバーシップ」よりも安くなります。友達や恋人など、他にメンバーになってくれる人がいる人には、相性が良いプランですね。なお、料金は代表者が一括して払うことになります。
ただし、自分の場合は、周りにApple Musicを使いたい恋人も友人も家族もいなかったので、縁のないプランでした。
③大学生向けの学割プラン「学生メンバーシップ」:月額480円
学校で配布される「〇〇(学校名).ac.jp」などの学生向けメールアドレスを認証させることで、学割でApple Musicが利用できます。
学食のBランチを1回我慢すれば、1カ月Apple Musicを使えると考えればリーズナブルかもしれません。なお、登録できるのは、大学生・専門学校生・短大生のみで、高校生は「学生メンバーシップ」を利用できないようです。
Apple Music に学生として登録する際は、UNiDAYS の学生証明サービスを通じて、学位を授与する総合大学または単科大学に実際に在学しているかどうかが確認されます。UNiDAYS で在学が証明されたら、Apple Music のサブスクリプションに学生プランで登録できます。
Apple TV+ も楽しめる Apple Music の学生プランに登録する
3つの支払い方法
Apple Musicの支払い方法は以下の3種類です。
- クレジットカード支払い(Apple ID経由)
- キャリア決済支払い
- Apple Musicギフトカード
個人メンバーシップで利用する場合は、Apple Musicギフトカードが断然お得です。
Apple Musicギフトカード払いの時と、それ以外の支払いの料金の違いは、以下の通りです。
Apple Musicギフトカード | それ以外 | |
---|---|---|
3カ月間 | 2,940円 | 2,940円 |
12カ月間 | 9,800円 | 11,760円 |
1年間使うなら、Apple Musicギフトカードで支払うと2ヶ月分(1,960円)安くなるので、料金的にはApple Musicギフトカードで支払うのが一番お得です。Apple Musicギフトカードは全国のApple Storeをはじめ、コンビニや家電量販店などで購入できます。
Apple Musicギフトカードでの支払い方は、アカウント画面から[コードを使う]を選択し、購入したApple Musicカード裏面に書いてあるコードを入力すれば支払い完了です。
Apple Musicの音質は普通
Apple Musicの音質は、他の音楽配信サービスと比較すると「悪くはないが、感動するほど良くはない」というレベルです。
少し専門的な話をすると、Apple Musicのファイル形式は、mp3ではなくAAC(Advanced Audio Coding)です。Apple Musicのビットレートは最大256kbps。それに対し、他社サービスのファイル形式はmp3で、ビットレートは最大320kbps。kbpsが大きいほど音質は良くなります。
単純にkbpsで比べると、Apple Musicは他社に比べて劣っています。スマホで普通のイヤホンで聴く分には、256kbpsと320kbpsの違いはほぼ判別できません。個人的には、192kbpsを超えたあたりから、音質の違いはハッキリ分からないと思っているので、Apple Musicの音質が256kbpsの点は気にしていません。
圧縮率が気になる人は、普段音楽を聞く環境(スマホとイヤホンなど)を用意し「mp3ornot.com」でテストするとわかりやすいです。同じ音源の128kbpsと320kbpsを比較できます。
ファイル形式とは別に、音楽プレイヤーごとに音色のセッティングがあり、この音色のセッティングの方が音の印象を左右していたりします。平らな印象だったGoogle Play Musicと比べると、Apple Musicは気持ち、高音と低音が強調されているような感じです。
PCのiTunesとiPhoneにはイコライザー機能があるので、さらに細かく変更可能です▼
Androidにはイコライザがないので、Androidユーザーとしては少し悲しいです。
Apple Musicの4つの機能と使い方
主要な定額制音楽ストリーミング配信サービスには、だいたい似たような機能が付いています。その中でも、Apple Musicは各機能一つ一つが洗練されていて、クオリティが高いです。
ここでは、以下の4つの機能について、使い方の解説と私の感想を説明していきます。
- ラジオ機能の最高峰「Beats1」
- 再生中の曲に似た曲を紹介してくれる「ステーション」
- 再生履歴からオススメの曲を提案してくれる「For You」
- 楽曲をオフライン再生できるようにする「キャッシュ保存」
ラジオ機能の最高峰「Beats1」
音楽配信サービスには、色々な曲を勝手に流してくれる「ラジオ機能」があります。Apple Musicの「Beats1」は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンを拠点とする3人のメインDJを中心に、著名なアーティストを交えた豪華なラジオ機能で、深く・広く音楽の世界を楽しめます。
著名なアーティストとしては、「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」にも選ばれているエルトン・ジョン、過去24回グラミー賞にノミネートされたファレル・ウィリアムスなどの巨匠が出演しています。「月額980円のサービスで、よくここまでの巨匠連れてこれたな」と感動さえ覚えました。
他サービスの「ラジオ機能」は、ジャンルや年代をカテゴリーにして、AIが選曲する楽曲をノンストップで流すだけです。ここまで本格的なのはApple Musicだけです。
放送されたプレイリストはその番組のページに保存されているので、いつでも過去の内容をチェックできます。
ラジオだけでなく、インタビューなど動画コンテンツもありますが、英語音声のみで吹き替えや字幕はありません。日本語対応していないのは残念ですが、特集されているアーティストのファンであり、かつ英語が得意な人には最高のサービスだと思いました。番組表はBeats1公式Tumblrで確認できます。
再生中の曲に似た曲を紹介してくれる「ステーション」
「ステーション」は、「聴いている曲に似た曲」をAIが流してくれる機能です。使い方は以下の通りです。
再生画面右下のアイコンをタップ▼
[ステーションを作成]をタップすれば利用できます▼
流れてくる曲が気に入らなかった場合、スキップすればすぐ次の曲がかかります。似たような曲や同年代にリリースされた親和性のある曲が出てくるので、好印象。好きな曲を軸に、まだ知らない名曲をどんどん発掘したい私としては大変助かる機能です。
再生履歴からオススメの曲を提案してくれる「For You」
「For You」は、再生履歴からユーザーの好みを分析し、毎週金曜日に「My New Music Mix」という24曲程度のプレイリストを作ってくれたり、おすすめのアルバムを紹介してくれる機能です。
再生中の曲について、「ラブ」または「好きじゃない」と評価することで、For You機能の精度に反映されるようになります。
個人的には、こまめに「ラブ」や「好きじゃない」をつけたりしていないせいか、あまりお世話になっていない機能です。しかし、たまに見てみると意外な曲をプッシュされており、良い意味で驚かされます。
楽曲をオフライン再生できるようにする「キャッシュ保存」
「キャッシュ保存」は、楽曲の再生のために必要なデータを端末にダウンロード・保存して、オフライン状態でも楽曲の再生を出来るようにする機能です。
Apple Musicは端末の容量が許す限り無制限にキャッシュが可能で、Android端末ならキャッシュデータの保存先をSDカードなどの外部メディアもに指定できます。
他社サービスの中には、キャッシュ保存に曲数や容量の制限があったり、保存先が端末本体のみだったりするので、Apple Musicは優秀です。
何千曲もキャッシュするのは正直面倒なので、実際は何千曲もキャッシュ保存する人はそうはいないと思います。ただ端末の容量が許す限りOKと言われると、精神的にすごく自由な気分になります。足りないものには貪欲で、手に入れたものには執着しなくなる。人間なんてそんなものです。
Apple Musicを使ってみた感想
ここでは、Apple Musicを3か月利用した個人的な感想をお伝えしてきます。
楽曲ラインナップは音楽配信サービスの中でNo.1
音楽ストリーミングサービスのラインナップの傾向を調べるために、洋楽・邦楽100アーティスト以上の「リリースしたアルバム枚数」と「それぞれのサービスで聴くことが出来るアルバムの数」を比較したことがあります。ジャンルはバラバラですが、有名なアーティストを中心に地道に数え続けたのです。
結果、Apple Musicは洋楽・邦楽問わず、「他の音楽ストリーミングサービスにはあったのに、Apple Musicにはない」というアルバムがほぼ見当たりませんでした。
事前のApple Music予想は「洋楽はSpotifyに迫るラインナップだけど、邦楽はそこまでではないかも」というものでしたが、見事に覆されました。むしろ、楽曲数ではトップであるはずのSpotifyよりも邦楽を中心にApple Musicの方が勝っていました。
膨大なコンテンツをサクサク楽しめる
Apple Musicは、AppleらしいオシャレなUIで直感的に操作できます。約3,000万曲という膨大なコンテンツを持っているApple Musicですが、自分の思った通りにサクサク動いて快適です。UI(使いやすさ)に関しては◎ですね。
他のユーザーとの絡みは少ない
Apple Musicは自分以外のユーザーとの接触はほぼありません。「Beats1」「ステーション」「For You」で提案される楽曲の中から、ひたすら自分好みの音楽を見つけていくスタイルです。
他社のサービスは、自分のお気に入りの曲を公開して、それを通じて他のユーザーとコミュニケーションを取ったりできます。自分としては、他のユーザーとの絡みは重視していないので、気にならないですが、他のユーザーとの接触を楽しみたい人には物足りないでしょう。
コンテンツが完全に日本語対応になっていない
Apple Musicは、完全に日本語対応になっていないコンテンツがあります。Beats1をはじめとしたApple Musicの独自機能は、海外アーティストを特集する英語だけで吹き替えや字幕がないです。
元々アメリカ発のサービスなので仕方ないかもしれませんが、全てのコンテンツが日本語対応になっていないのが残念です。
【まとめ】Apple Musicは音楽の世界を広げてくれるサービス
Apple Musicは、洗練されたデザインで一つ一つの機能が直感的に操作できる上に、コンテンツが豊富なので「この曲も聴いてみようかな?」という気にさせてくれます。なので、「Apple Musicを使っているうちに自分が音楽の幅が広がりそう」と感じました。
豪華な音楽番組や、ファミリー共有や、学生メンバーシップなどの料金体系等、サービスを選ぶ上での決め手も多いです。
何と言っても、無料トライアル期間が3カ月もあるので、気になった方は気軽にApple Musicをお試しで体験してみましょう。
音楽は、世界に魂を与え、精神に翼をあたえる。そして想像力に高揚を授け、あらゆるものに生命をさずける。
プラトン