どうして無料?読み放題の漫画アプリ人気6社とビジネスモデル分析

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日本を代表する文化である「漫画」は日本のみならず、世界中の多くの人の生き方に影響を与えてきました。ジダンなど『キャプテン翼』を読んでプロを目指したサッカー選手もいますし、『ブラックジャック』が現代の医科学会に与えた影響は非常に大きいと言われています。

しかし、若年層の「活字離れ」は「漫画離れ」にも繋がり、コミック誌の売上は年々右肩下がりを続けています。出版業界が斜陽産業と言われて久しいですが、漫画もその例外ではないようです。日本の漫画文化の柱である『週刊少年ジャンプ』でさえ、1995年は650万部を超える発行部数を誇っていたにも関わらず、2017年では200万部を下回っています。

しかし「漫画アプリ」の登場により、往年の名作が時代を超えて様々な年代層に読まれるようになりました。また電子書籍ならではの表現方法が漫画の可能性を拡げ、「漫画」というコンテンツは新しい境地を見つけたようにも感じます。

そんな中、2017年2月にNYに本部を置く世界最大の調査会社であるニールセン デジタル株式会社が、漫画アプリに関するデータを発表しました。日本国内に少なくとも30種類以上ある漫画アプリの中で、月に100万以上の利用者数を誇る漫画アプリトップ6を発表しました。今回はそのトップ6サービスを徹底的に解説します。

電子書籍の中でも急速に拡大する漫画アプリ市場

本が売れない現代で、見事に市場を拡大している電子書籍。実はその大半が電子コミックによって支えられています。

全国出版協会のデータによれば、2015年から2016年にかけて、紙の漫画が3,569億円から3,268億円と301億円も売上が下がったのに対し、電子コミックは1,169億円から1,491億円へと322億円も売上を伸ばしています。

まだまだ紙の漫画の売上は電子コミックの売上の倍ですが、電子コミックの売上は急成長しているため、近い未来に紙の漫画の売上を追い抜くでしょう。

漫画アプリで使われる代表的な3つのビジネスモデル

「どうしてマンガを無料で読めるの?」と疑問に思ったので、漫画アプリのビジネスモデルについて調べてみました。中には、大手企業の目論見も垣間見えるビジネスモデルもありましたのでご紹介します。

ゲームアプリで話題になった「F2P」モデル


多くの漫画アプリで採用されているのが「F2P(Free to Play、基本無料で課金要素有り)」モデルです。

ゲームアプリで採用されたことから、馴染みがある人も増えたモデルで、基本的には無料で利用できます。その代わりに、最新の武器やレア情報といった追加サービスを楽しむには、専用のポイントを購入して手に入れる形となっています。企業は、ポイントを購入してくれる一部のユーザーから売上を上げているのです。

漫画アプリでも、F2Pモデルが採用されており、基本的に無料で読めるようになっています。ただ、一足先に次のエピソードを読みたいユーザーや一冊まるごと読みたいユーザーはポイント購入する必要があります。

コンテンツビジネスの王道「広告」モデル

ゲーム、音楽、動画、、、コンテンツを配信するビジネスで最もポピュラーなのが「広告」モデルです。もちろん漫画アプリでも「広告」は大いに活用されています。

特にマンガアプリの広告市場規模は、マンガアプリが注目され始めた2014年には14億円だったのが、翌年2015年には41億円と約3倍に成長した過去があります。

それぞれのアプリによって広告戦略に違いがありますが、最も結果を出しているのは「リワード広告」と呼ばれる種類の広告です。リワード広告とは、成果報酬型の広告で、漫画アプリを通して指定のサービスをダウンロードさせたり、会員登録をさせることによって報酬を得る広告のことです。

マンガアプリの中にはコインやチケットなどを利用して読み進めるタイプもあります。マンガアプリ内で使えるコインやチケットなどを付与することで、リワード広告を成功させているマンガアプリが多いようです。

コンテンツ自体が価値になる「IP」モデル

IPモデルのIPとは、Intellectual Propertyの略称です。少し分かりやす言ううと「価値ある情報」のことです。IP(知的財産)自体は聞きなれない言葉かもしれません。が、実は私たちの生活にあふれています。

「著作権」という言葉なら、聞き覚えがあると思いますが、キャラクターや音楽などの著作権の所有者に許可をもらい、使用料を払ってゲームや動画で売上を上げる仕組みを「IPモデル」と呼びます。

ゲーム会社は、人気ゲームを作るために、人気漫画のキャラクターを借りるケースが多いです。『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』のゲームは、著作権を持つ出版社に多額の使用料を支払っています。他社の人気コンテンツに多額の使用料を払わずにゲームを流行らせたいと考えたゲーム会社は、「漫画アプリを使って自分たちで人気漫画や人気キャラクターを育成できないか?」と狙っているようです。

月間利用者数100万人を超える漫画アプリは6つ

スマホなどの視聴行動を分析しているニールセン デジタル株式会社が、漫画アプリの利用状況に関する調査を行いました。その調査結果では、月間100万人のユーザーが使う(ダウンロード数ではない!)漫画アプリは6つあり、その中でも上位3アプリとそれ以外では100万人以上の差があり、大きな壁があるようです。

6つのサービスの運営会社を見渡すと、IT企業の方が出版社よりも多いです。また各社の既存事業もそれぞれ違うため、同じ「無料」アプリでもその役割は異なり、大変興味深いです。上位6つのアプリが、どのように収益を上げ、既存事業とどのようなシナジーを生み出しているのかを見ていきましょう。

以下、それぞれのアプリがどのように企業の収益に貢献しているか見ていきましょう。

LINEマンガ


若年層の間で最も人気なメッセンジャーアプリ「LINE」は、幅広い人が利用しています。LINEはメッセンジャー機能の他に、ゲームや音楽コンテンツも配信していますが、漫画コンテンツは「LINEマンガ」で配信しています。

LINEマンガは、月間利用者数だけでなくダウンロード数、年間収益など多角的な面から見ても、No1の漫画アプリと言えます。ユーザー層は10代:27%、20代:35%、30代:25%、40代:13%と、幅広い層に使われている感があります。

閲覧方法には「有料書籍」「無料連載」「立ち読み」があり、ざっくり説明すると次の通りです。

  • 有料書籍:実際に200円~500円のレートで本を購入する
  • 無料連載:有料書籍の中から最新数話を期間限定で購読できる
  • 立ち読み:無料で最初の数話だけ試し読みできる

LINEマンガでは、コインを使って本を購入します。もちろんコインを購入できますが、友達に作品をシェアしたり招待コードを入力してもコインをゲットできます。購入の場合は基本的に1コイン=1円ですが、1度に購入する額が上がるほど若干お得に購入できます。

作品の中にはLINEで使える限定スタンプ付きの作品もあり、ファンであればスタンプ欲しさに、他の漫画アプリではなくLINEマンガで購入するようです。熱狂的なファンであれば、既に書籍を持っていても、スタンプ欲しさにLINEマンガ内で改めて購入するケースもあるようです。下記がスタンプの一例です。

漫画アプリの王様「LINEマンガ」はアプリ内だけで終わらず、リアルとの連携も図っています。2016年には出版物専門の商社である株式会社トーハンと組み、書店とのコラボ企画を展開しました。

書店の漫画コーナーに設置されたビーコン端末(ブラウン君:下記写真)に近づくと、LINEマンガアプリに試し読みの情報が配信されるという企画です。試し読みの最後には特典との交換ページがあり、書店員に見せると限定イラストカード等がもらえます。出典:LINEマンガ公式ブログ

数年前からLINEマンガの動きは書店の売上にも影響を与えており、LINEマンガで無料連載を始めると書店での売上が翌日ピークになるほど。なので、書店もアプリの無料連載をチェックしており、販売促進の参考にすることもあるそうです。「漫画アプリ VS 書店」の構図から、お互いの強みを活かして業界を盛り上げるパートナーになったようですね。

ちなみにこのLINEマンガ、実際に運営をしているのは電子書籍取次を事業として行っている株式会社メディアドゥです。電子書籍取次とは、出版社などのコンテンツの権利を持っている側と、マンガアプリを運営している会社の間に入って、著作権などの調整をする会社です。

LINEマンガでは現在240社以上の出版社と取引をしていますが、それらは全て(株)メディアドゥが行っています。またコンテンツ取次だけでなく、配信システムやビューアシステムなどのサービスインフラも同社の開発によるものです。

LINEというエンターテイメントプラットフォームと、電子書籍のプロが組み合わさることで生まれたLINEマンガが、業界トップの座にいるのは納得できる気がします。

  • サービス名:LINEマンガ
  • 運営会社 :LINE株式会社
  • サービス開始:2013年
  • 累計掲載作品数:18万点以上
  • アプリ内課金:有(コインの購入)

LINEマンガ

comico(コミコ)

最近になってLINEマンガにトップの座を明け渡しながらも、ユーザー数で堂々の2位に君臨するのが「comico」というアプリ。運営するのはNHN comicoという会社。IT業界に詳しい人ならNHNで分かったと思いますが、NHNPlayArtが商号変更した会社です。この企業は頻繁に社名変更や会社分割を行っていますが、もとはハンゲームジャパンという韓国企業の日本法人です。ちなみにLINEもNHNJapanという会社が商号変更して、会社分割してできたNHNの子会社です。

出典:本家も社名変更するみたいなので、日韓NHNの沿革を図にしてみた

そんなcomicoはスマホならではの特性を生かした、ページめくりが縦スクロールで、コンテンツも全てオリジナルという2つの大きな特徴を持っています。多くの漫画アプリの作品では紙のコミックのように、横にページをめくるように読んでいきます。しかしcomicoでは1枚のページを縦にスクロールしながら読んでいく「縦スクロールコンテンツ」のみを配信しているのです。

縦スクロール漫画のすごい所は、スマホに最適化しているところ。スマホの小さい画面ではセリフや小さいルビなどが読みづらいこともあります。が、縦スクロールだと非常に読みやすいです。また画面が動いたりセリフが順次出てくるなど、スマホならではの機能が実装されており、表現方法に広がりがあります。

この縦スクロールの漫画、実はもともと韓国で「Webtoon(ウェブトゥーン)」という名前で流行したものでした。comicoは会社の沿革をたどると韓国に行きつくので、日本でもいち早く縦スクロール漫画を取り入れたのは納得です。

また、comicoが他のアプリと一線を画すのは、全てのコンテンツがオリジナルコンテンツということです。comicoでは1万2,000話以上もの作品が配信されていますが、その全てが専属契約している作家か、公式連載を目指す作家による作品のみです。つまりcomicoの作品はcomicoでしか読めないため、大きな差別化になっているのです。

さらにcomicoでは総合学園ヒューマンアカデミー等と組んで「comicoマスター連載コース」を開講しています。1年コースでデジタルの基礎や、チャレンジ作品への投稿を目的とした演習などを通して、公式作家を目指します。公式作家になれば月に20万円以上稼ぐことも可能です。

また、漫画の終わりにコメント機能が付いているアプリは多いですが、comicoではコメント機能の重要性が違います。リアルタイムで連載されている作品なら、コメントの多様な意見はフィードバックとして作者に届きます。コメントの内容によっては作品の展開が変わることもあるとか。

comicoが漫画アプリとして成功したのはコンテンツだけでなく、ビジネスモデルにも要因があります。従来の漫画アプリはコンテンツビジネスに代表される広告と追加課金モデルですが、comicoのビジネスモデルは他のアプリと一味違います。

特徴的な収益構造として、漫画を起点としてマルチエンターテイメントを展開しているのです。例えば2015年にはオリジナルのコミックレーベル「comico books」を立ち上げ、出版事業をスタートしています。アプリ内で人気だった『ReLIFE』はリアルのコミックとして出版され、累計発行部数150万部を突破しています。アプリで読んでいるのに書籍が買われるというのはすごいですね。

また、『ReLIFE』は漫画だけに留まらずアニメ化、舞台化、映画化もされています。アプリで人気の作品は固定のファンがいるため、他のエンターテイメントにも誘導できます。逆に、アニメなどでファンになった人は、アプリの利用者になり、他の作品も読んでくれます。様々なエンターテイメントをクロスさせることで、大きな相乗効果を生んでいます。さらにはグッズ化やIP(知的財産)など多角的に収益化を図っているのです。


それまでは、いかに人気作品を掲載するかが漫画アプリのキモでしたが、comicoではアプリ発で作品を育て、アプリ以外で収益を得るビジネルモデルを作ったのです。

  • サービス名:comico
  • 運営会社 :NHN comico
  • サービス開始:2013年
  • 累計掲載作品数:1万2000点以上
  • アプリ内課金:無

comico

マンガワン


「マンガワン」は『週刊少年サンデー』を刊行している小学館が運営しています。小学館は2012年に「裏サンデー」というWebコミック配信サイトをスタートさせました。裏サンデーは、「掟破りの無料Webマンガサイト」をコンセプトに、課金システムや広告モデルを導入せずに単行本販売のみ収益を上げる予定でした。

しかし、ユーザー数の増加の割に単行本の売上が伸びず、費用を賄うために広告を付けたり、一部公開制限を行った結果、単行本は売れましたがユーザー数が減少したのです。その後、ビジネスパートナーを募集し、ITインフラのコンサルを行う「Link-U」と2014年にアプリ「マンガワン」を開発することになったのです。

現在は、裏サンデーがブラウザ版、マンガワンがアプリ版がという位置づけになっています。一部しか無料で読めない裏サンデーに比べて、全話読めるマンガワンの方が有名です。

マンガワンは冒頭で紹介したF2Pモデル(Free to Play、基本無料で課金要素有り)を採用しています。基本的に無料で漫画が読めますが、制限なしで読むには課金が必要なサービスです。作品には大きく、無料作品とそれ以外の作品があり、無料作品以外を読むには「ライフ」や「チケット」が必要になります。

時間が経てば無料で回復するライフに対して、チケットは好きなタイミングで購入できます。ライフだけだと1日に最大8話までしか読めないので、さらに読みたい人はチケットを購入して読み進めるというモデルです。

たまに期間限定で300話以上もある長編の作品を公開しています。それだけ長い作品を1日8話ずつでは読み切れないため、どうしてもその作品を読み切りたい場合、普段課金しない読者でも課金してしまうのです。

このF2Pモデルは比較的多くの漫画アプリが取り入れてるモデルと言えます。

他にもマンガワンの面白い点として、投票システムがあげられます。マンガワンでは作品のランキングをとても重要視しており、ランキング上位にいけば収益の還元率が高くなったり、アニメ化の道が開かれます。アプリで得た収益をしっかり作家に還元する辺りは出版社らしいですね。チケットを使えば、無課金ユーザーよりも多くの投票ができます。ファンであれば応援のために課金する人もいるでしょう。

マンガワンはユーザーにとっては優しいサービスに思えますが、ビジネスモデルとしては上位2社に比べて魅力があるようには感じません。しかし、サンデーの発行部数が減少している中、小学館もネットに活路を探しているように感じます。とはいえ無料でこれだけ読める漫画アプリはそんなに無いので、コンテンツの有料化以外の方法での収益化を考えてほしいです。

  • サービス名:マンガワン
  • 運営会社 :小学館
  • サービス開始:2014年
  • 累計掲載作品数:2万2000点以上
  • アプリ内課金:有(チケットの購入)
  • HP :http://manga-one.com/

マンガワン

マンガボックス


マンガボックスは、2016年にとても話題になったDeNAが運営している漫画アプリです。様々なWebサービスを展開しているDeNAですが、2013年にマンガアプリ市場にも参入しています。

DeNAは初代編集長として『金田一少年の事件簿』の原作者である樹林伸(きばやし しん)氏(@agitadashi)を招き入れました。他の編集者も講談社・小学館から招かれているため、IT企業でありながら出版社と同じような質で編集が行われています。漫画は漫画家だけが作っていると思っている人も多いと思いますが、実は編集者がとても重要で、編集者と漫画家の相性が作品がヒットするかを決めるとも言われています。

樹林氏としては2013年当時、様々な企業から漫画アプリ開発の話が来ていましたが、樹林氏の条件をのんだDeNAと組んでアプリの開発が進みました。その条件とは「無料で読める」ことと「多言語で展開すること」。DeNAとしてはゲーム事業で成功していたもの、自社でIP(知的財産)を作る必要性を感じていたため、漫画市場に参入しました。

マンガボックスのコンセプトは「マンガ雑誌」。実はほとんどの漫画雑誌は収益を上げておらず、その後に出版される単行本で収益を上げています。今や漫画雑誌の発行部数はピーク時から半減しており、コンビニなどでも立ち読みが禁止され、新しく漫画に興味を持つ機会が減ってきました。「マンガボックス」を通して漫画に興味を持つ機会を増やして、いつか紙に戻って欲しいというのが樹林氏の考えです。

実際にマンガボックスでは、漫画を一冊読み終わってそのままスクロールすると、次の作品にいってしまうので、漫画雑誌を読んでいる気分になります。もちろん次の回にいくこともできますが、一つの作品を一気読みするよりも、たくさんの作品を1話ずつ読んでお気に入りの作品を探す方が向いています。

バックナンバーとして、1話目と最新12話が無料で読めます。期限が切れた話を読むにはアプリ内のストアで電子書籍を購入するか、現実世界で物質量のある単行本を購入しなければいけません。作品によってはマンガボックスに掲載されたことで、単行本の売れ行きが10倍になった作品もあります。

またマンガボックスには「インディーズ」専用カテゴリがあり、作家が作品を投稿できるようになっています。マンガボックス発で単行本が発売された作品もあるようです。作家からすればデビューへの道が一つ増えたことになります。

ビジネスモデルとしては、電子書籍や単行本の販売、アニメやゲームへの展開の他、IP(知的財産)や、アプリ内のリワード広告やプレミアム課金でも収益を上げています。

書籍からアプリまで出版社とIT企業のどちらの強みも活かした収益モデルとなっています。

こちらの映像ではG1ベンチャーで、樹林氏とDeNAの守安社長とホリエモンがマンガボックスについて討論しており、より詳しい話が聞けます。

  • サービス名:マンガボックス
  • 運営会社 :DeNA
  • サービス開始:2013年
  • 累計掲載作品数:
  • アプリ内課金:有(アプリ内のストアで有料話購入)

マンガボックス

少年ジャンプ+

「少年ジャンプ+(プラス)」は名前の通り、集英社の漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』のアプリ版です。『こち亀』『ドラゴンボール』『スラムダンク』と作品名を上げたらキリがないほど、名作を世に送り出してきた雑誌です。漫画雑誌の中では最多累計発行部数を誇り、ピーク時には小中学生の2人に1人が読んでいたと言われています。

アプリでは最初の何話かは無料で読めますが、途中からはコインが必要になります。コインを得るには、1日1回できる「じゃんけん」をするか、他社のアプリやサービスをダウンロードすることです。1日1回できる「じゃんけん」はゲームアプリのログインボーナスに近く、マンガを読む時間がなくてもコイン欲しさにアプリを開くため、継続的な利用を促しています。アプリの使い方は他サイトと大差ありませんが、アプリ内で少年ジャンプの電子版を購入できたり、電子版の単行本が購入できるのは出版社ならではです。

ジャンププラスで特徴的だと思ったのは、1話読み終わった後に出てくる「いいジャン」ボタンを押すページです。ボタンを押すことで、作品を応援できます。投票や応援する機能を付けているアプリは他にもありますが、明らかに「ジャンプ+」でのそのページが強調されています。推測ですが「アンケート至上主義」とまで言われているジャンプでは、この「いいジャン」の数も作品の存続に影響されるのではと考えてしまいます。

集英社の面白いところは、『ONE PIECE』や『NARUTO』といったビッグタイトルを無料で1日1話読める、別の専用アプリを開発しているところです。最初決めた時は本気で冗談かと思いました。その他「ジャンプカメラ‼」など、直接漫画とは関係ないサービスも展開しています。

アプリの開発自体は自社ではなく株式会社ICEに外注していますが、出版社にしては積極的にアプリ開発やIT事業に力を入れているのを感じます。ジャンプの編集長気分になって自分好みのジャンプを作れる「Myジャンプ」など、ただ漫画を読むだけでなく、新しい漫画の楽しみ方も提案しています。

2017年にはアプリ開発コンテストと称して、アプリやWebサービスの企画を募集し、入賞者は賞金も用意しています。以下は編集長の言葉ですが、企業として常に「面白い子」「新しい事」にチャレンジしていく姿勢を感じました。

来年2018年、創刊50周年を迎える『少年ジャンプ』は、「常に面白い事」、「常に新しい事」を追求してきました。マンガ界に革命を起こし続けるマンガ作品、キャラクター群。アニメや映画とコラボすることによるマルチメディア展開。~少年ジャンプのキャラクターや作品は日本だけでなく、世界中で親しまれています。アプリ、WEBサービスの世界でも一緒に世界一を目指してもらえる皆さんに集まって頂きたいと思っています。新しいアイデアや技術を持った皆様によるご応募を、心よりお待ちしております。

  • サービス名:少年ジャンプ+
  • 運営会社 :集英社
  • サービス開始:不明
  • 累計掲載作品数:不明
  • アプリ内課金:有(アプリ内のストアで有料作品購入)

少年ジャンプ+

GANMA!

GANMA!(ガンマ)は、今回紹介するアプリの中で唯一、漫画アプリに特化したコミックスマートという会社が運営する漫画アプリです。とはいえセプテーニという大手IT企業の子会社なので、運営体制などもしっかりしているようです。

コミックスマートが漫画アプリ事業に参入した理由は、マンガボックスを運営するDeNAに少し似ています。セプテーニもゲームアプリを開発していますが、自社でIP(知的財産)を作っていくため、電子マンガ市場に参入しました。

コミックスマートはただのアプリ開発会社というよりも、漫画家の育成・輩出を目的とする支援プログラムの専門サイト・アプリ「Route M」の運営もしています。「Route M」では、画材や漫画の制作に必要なデジタル用品が完備されたスタジオを漫画家に提供しています。

Route Mでは漫画の人気度合いで5段階のステージが設定されており、支援金が上がるほか、専属のアシスタントがついたり各種メディアに向けたプロデュースも行われます。またGANMA!でのランキングが上がれば、支援金以外でも漫画家への報酬が上がる仕組みも用意しています。

Route Mで支援を受けている漫画家の中には、紙媒体では掲載を断られながらも、GANMA!に掲載されたことで人気作品を連載している作家もいるようです。また紙と違って掲載枠が決められていないため、作家同士の仲も良く、自分の作品を良くするために切磋琢磨できる関係を作れるメリットもあるとか。

GANMA!アプリのビジネスモデルとしては、広告と、人気作品を単行本などの別メディアへの展開です。コインやチケットなどのアプリ内での課金は一切なく、すべての作品が無料で読めます。広告もリワード広告の他に「キャスティング広告」や「動画広告」など、広告なのにちょっと面白くてストレスがないのはGANMA!の特徴かもしれません。

会員登録をしなくても全ての作品が無料で読めますが、会員登録をすると、コメントや評価ができたり、お気に入り登録ができます。コメントや評価で人気が出れば、他のメディアにも展開されるのでファンとしては嬉しいですね。また月額300円のプレミアム会員になれば、通常よりも最新話を1週間早く読めます。

専属作家のインタビューなどでは、編集者と二人三脚で作品を構成していく話などがある等、ほぼ出版社のようでした。ただのメディアではなく作家の育成から稼げるようになるまでを世話する教育機関のような印象も受けます。

  • サービス名:GANMA!
  • 運営会社 :コミックマート
  • サービス開始:2013年
  • 累計掲載作品数:不明
  • アプリ内課金:無

GANMA!

こちらは、GANMA!を運営するコミックスマート(株)取締役の上河原さんにGANMA!の理念や戦略について語って頂いたインタビュー記事です。

漫画アプリ市場を分析しての所感

今回漫画アプリ業界を調べて、ただサービスを使っているだけでは気づかない点が多くあったのでまとめました。

IT企業が漫画アプリ市場に参入する真の目的はIP(知的財産)

通常、コンテンツビジネスであればPVが増えてきたら広告モデルを展開したり、有料コンテンツで収益をあげるのが一般的です。しかし今回取り上げたIT企業(LINE以外?)はもともとゲーム事業で成功してましたが、ライセンス元へ払うコストが高くなり利益を圧迫されるのに悩んでいたようです。

各社で収益の柱となっていたアプリは人気マンガを扱ったゲームが多く、こういった版権ゲームはライセンス元に払う支出も大きくなってしまいます。そこで自社でIPを育てるのに相性の良い漫画事業へ乗り出してきたのです。

漫画アプリ自体が大きな稼ぎ頭にならなくとも、自社で育てた漫画をゲーム展開すれば、それまでライセンス元に払っていたコストを減らして得意分野であるゲーム事業で勝負できるようになります。さらには自社のキャラクターの人気が高まれば他社へIPを貸与することで、幅広く収益を生むことができるのです。

漫画アプリは1つに絞らなくて良い

音楽配信や動画配信など他のコンテンツサービスでは自分にあったサービスを一つ選ばなければいけませんでした。しかし、今回複数のマンガアプリをダウンロードしてみて気づいたのは漫画アプリは「選ぶ」必要性がないように感じました。

各アプリは無料で1日に利用できる範囲が定められているため、1つのアプリだけだと読める範囲が少ないです。しかし、2つ以上のアプリを利用すると、1日に多くの漫画を読めるのでお得です。

なお、「comico」などは作品が他アプリとバッティングしないため、同じ漫画アプリでも競合サービスという感じがしませんでした。むしろユーザーの限られた可処分時間を奪い合うゲームアプリなどのサービスに対して、漫画アプリ全体でいかに対抗できるかが、漫画業界が生き残るための課題だと思いました。

Webマンガによって漫画家同士の競争がなくなる

この記事を書いている最中、漫画家が成長していく映画作品『バクマン』を見ました。その時気になったのが、ジャンプの「アンケート至上主義」です。ネットで調べてみるとアニメ化されるほど人気だった作品でも、アンケートの結果が悪くなったことで打ち切りになっていたことを知りました。

一冊の漫画雑誌に掲載できる作品の数は限られているため、新しい人気作品が出てくれば、同じ数だけ作品が打ち切りになります。人気作品がいつまでも連載されていては、新人漫画家にチャンスがありません。そのため『バクマン』の中でも漫画家同士がバチバチするシーンが描かれていました。

漫画が電子化することで、コアなファンがいるのにアンケートの結果が悪くて連載打ち切りという悲劇がなくなりました。ITによって漫画家への入り口が広くなったと同時に、打ち切りのリスクが減ったことは漫画業界への大きな貢献だと思います。

アプリによって漫画家との距離が近くなった


マンガアプリは気軽に「いいね」が押せたり、評判を書き込めます。おそらく昔は、漫画を作っていたのは「作家、編集者、コアなファン」だったと思いますが、アプリが普及したことでファンが作品に与える影響が大きくなったと思います。

ファンの声がリアルタイムに作家に届くことによって、作品の進展に影響を与えることもあるようです。漫画家の中にはWebマンガを否定する声もあるようですが、漫画家にとってもファンからのフィードバックがすぐにもらえる良い機会だと思いました。

【まとめ】いかにリアルと連携していくかが今後のマンガアプリの鍵

マンガアプリについてまとめましたが、上位6サービスだけでもその仕組みや戦略は大きく異なっています。表面だけを見ると「無料で漫画が読める便利なアプリ」ぐらいにしか見えませんが、裏側には無料のサービスをいかに収益化するのか企業のアイディアと工夫が見えてきます。

市場縮小している「紙の漫画」と、市場拡大している「電子コミック」はよく対立構造で語られます。が、これから大事になってくるのは、いかにリアルとネットを組み合わせていくかです。「LINE」や「comico」はIT企業ながらも、サービスをアプリで留めずにリアルと融合しています。リアル漫画の代表である小学館、講談社、集英社は漫画業界を盛り上げるためにアプリに参入しました。

そして、見逃していけないのは今回紹介した6社とも、作家への愛と尊敬があるということ。「LINE」はスタンプを通して、「comico」「DeNA」「comicsmart」は作家を育てることで、小学館、集英社では投票を通して作家への利益を還元しています。

コンテンツビジネスであるマンガアプリは、そのコンテンツを作る作家がいなければ始まりません。収益のためだけではなく、コンテンツへの担い手である作家へのリスペクトをサービスに反映した6サービスが上位にランクインしたのは納得ですし、今後も頑張って欲しいです。

紙だろうとアプリだろうと、日本を代表する「漫画」という文化がこれからも盛り上がっていくことを祈っています。

なお、一定の月額料で漫画が読み放題になるサイトもまとめましたので、興味がある人はこちらもご参考にしてください。

こちらでは漫画に限らず電子書籍を購入できるサイトをまとめています。

こちらの記事はマンガアプリの完全版ガイドです。

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