まんが王国は、13年以上の歴史を誇る古参の電子書籍サービスです。
3,000作品以上のマンガが無料で読めるという業界でも珍しいサービス。
まんが王国を運営する株式会社ビーグリーさんへインタビューする機会を頂きましたので、その内容を記事にまとめました。
インタビューでは、株式会社ビーグリーの執行役員の田中純平さん(写真右側)とプロモーションチームの須永健士さん(写真左側)にお話をうかがいました▼
電子書籍のマンガの裏側もお話してもらったので、マンガが好きな人なら必見の内容ですよ。
最初にまんが王国の立ち上げのキッカケや経緯を教えてください
創業者は最初、北米向けにオンラインゲームの会社を立ち上げたのですが、なかなか思うように事業を拡大する事ができなかったんです。
当時、中国にゲームの開発拠点をおいていましたが、「これからは主力事業として取り扱うデジタルコンテンツをゲームからマンガに切り替えよう!」と創業者が方向を変えたのです。
そして、「マンガで勝負をするなら、北米ではなく日本、プラットフォームは携帯電話にしよう」と再出発したのがキッカケですね。
まんが王国の立ち上げの苦労話があれば教えてください
一番苦労したのは、「許諾」ですね。
まんが王国でコミックスを配信する為の許諾をいただくために、その当時、コミックスを扱っている出版社は全部回りましたが、全社に断れましたね(苦笑)。
理由としては、2つありました。
- 出版社から当時、配信を断られた理由
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- ①弊社は当時外資系企業の日本法人であった為、日本の出版社さんからするとハードルがあった
- ②当時はガラケーだったので、コマ見せ(1コマごとに見せる)の理解が難しかった
特に②が大きな壁でしたね。「見開き」が良い例ですが、マンガはページ全体を使ってダイナミックに内容を表現します。
したがい、ガラケーの小さな画面で1つのコマごとに見せる方式は、出版社さんからすると、だいぶ抵抗があったようです。
マンガの許諾をもらえたキッカケは何だったんですか?
出版社さんを回っているときに、出版社さんから漫画家さんを紹介してもらいました。
その漫画家さんは過去に数々のヒット作を生み出している方でしたが、既に紙のコミックスは販売されておりませんでした。その漫画家さんの作品を電子コミックスとして、まんが王国で配信させて頂いたのがキッカケでしたね。
そして、追い風も吹きました。当時、ドコモ、au、ソフトバンクといった携帯会社のコンテンツサービスは音楽がメインでした。
しかし、音楽の月額課金制(サブスクリプション)のサービスの登場で、携帯会社の音楽ビジネスの規模が縮小されるなか、白羽の矢がたったのが「マンガ」だったんです。
その影響もあったのか、まんが王国の立ち上げ時からキャリア決済(毎月の携帯電話代金と一緒にお金を払う支払い方法)で決算代行を引き受けて頂き、まんが王国は各携帯会社の公式サイトとして認定されました。
ガラケーが主流の時代は、クレジットカードの情報を携帯電話から登録する事に抵抗があるユーザーはとても多かったので、携帯会社さんが提供するキャリア決済を利用する事ができるのは、ユーザーにとっても、当社にとっても大きなメリットだったと思いますね。
まんが王国と他社サービスの大きな違いは何ですか?
「じっくり試し読み」というマンガが無料で読めるサービスが大きな特徴ですね。「本屋さんで立ち読みしてから買う」を体現したサービスです。これはガラケー時代からブレずに提供しています。
マンガがたくさん読めるというよりは、「続きが気になる」「この作品は面白い」と思えるところまで、ユーザーさんに読んで頂けるようにスタッフが選んでいます。そういう意味では、マンガの1作品1作品を大事にしています。
古くからこの施策をしているので、「じっくり試し読み」できる冊数は増えましたね。このサービスは現在にいたるまで長年実績を積み重ね、漫画家さんや出版社さんとの契約もすでに1,800件を超えているんです。
「試し読み」ができる作品を大量に提供できるのも特徴です。
まんが王国のターゲット層を教えてください
2019年時点のユーザー層は20代~30代の女性が多いです。しかし、実は特にターゲットを定めてるわけではありません。
結果として、女性が多いというのはあるのですが、読者さんが「面白い!」と思う作品は多様化しています。男性向け、女性向けというよりは、面白いと思う作品を提案していけるようにしています。
それに合わせて、まんが王国のオリジナル作品を増やしていますね。オリジナル作品の編集チームは、レーベルや作品ごとにターゲット層を決めているでしょう。しかし、電子書店であるまんが王国としては、ターゲット層を定めていないのです。
まんが王国に掲載するまんがの選定基準
まんが王国としては、「面白ければいい!」というのが大きな選定基準ですね(笑)。
面白かったら古くても新しくてもいいと思っています。そのマンガの紙の本が売れているか売れていないかも、意識していないですね。
「面白い」は主観であり、人それぞれでしょう。ターゲット層もあえて絞らず、固定観念にとらわれず、ただ単に人のココロを動かす作品を提供し続けていくというのが我々のやりたいことですね。
選定基準というより、まんが王国の役割として、作品の掘り起こしにも力を入れています。実績として、コミックスになっていないマンガを掲載して、「月何十万ダウンロード」という事例もありました。
その後、紙の本になるということもあります。あとは、打ち切りが決まっている作品でも電子コミックのプロモーションをきっかけに、人気が再燃することもあります。
古いマンガから新しいマンガまで蔵書量が多くなった理由を教えてください
雑誌には掲載されていたけど、コミックスになっていない作品はたくさんあります。恐らく、コミックスになっていない作品の方が多いと思います。
中には、漫画家さんから原稿をお預かりして、デジタル化して出すということも実施してました。したがって、他の電子書店にはない作品もたくさん取り扱っていますね。
デジタル発でヒットして紙のコミックスを発売した作品もありますよ。例えば連載開始後、長年コミックスになっていなかった『女神たちの二重奏』という作品が象徴的です。この作品は『週刊漫画サンデー』という雑誌で連載していたマンガです。
当時、『週刊漫画サンデー』は中年男性向けの雑誌だったのですが、『女神たちの二重奏』は男性もさることながら、実は女性も手に取りやすい作品でした。
しかし、中年男性向けの雑誌の中で連載していると、女性がこの作品に出会える機会は少なかったのではないでしょうか。それが長い間コミック化されなかった要因の一つだと想像します。
『女神たちの二重奏』をまんが王国でデジタル化した後配信を始めると20代、30代の女性にズバッとヒットし、全10巻がコミックス化されたことが、まんが王国のみならず、電子書店の存在意義の一つを実感できた象徴的な事例になりました。
まんが王国からみた電子書籍の魅力とは?
電子書籍の魅力は、場所を取らないということですね。紙の雑誌やコミックスを何冊もバッグに入れて持ち運ぶのは、かさばるので大変じゃないですか?
それに対して、電子書籍は場所を取らないので、持ち運びしやすいですよね。
あと、紙のコミックスはスペースの関係で、本屋さんで置けない本もあります。その点、電子書籍ならスペースが関係ないので、読者さんに作品を届けやすいのも魅力ですね。
まんが王国のオススメの使い方
じっくり試し読みで新しい作品を発掘してもらうのがいいと思いますね。
あとは、ユーザーさんにマンガを楽しんで頂くために、お得なキャンペーンや異業種のサービスを提供している会社さんとのタイアップ企画を用意しているので、ぜひ活用して頂ければと思います。
「ランチタイムのクーポン」「猛暑キャンペーン」「来店ポイント」などのキャンペーンを積極的にやっていますよ。
まんが王国の今後のビジョンを教えてください
我々はコンテンツやサービスを掘り起こしたり、創造することを続けていくわけですが、それぞれに適した方法で訴求する活動そのものに弊社の価値を感じていただける「コンテンツプロデュースカンパニー」として事業を推進していきたいと思ってます。
コンテンツをプロデュースするというのは、単にマンガを新しく作ることだけじゃないですね。
マンガを掘り起こして、掘り起こしの先にある「アニメ化」「ドラマ化」「海外展開」もプロデュースしたいというのがビションですね。
アニメの制作会社さんと「原作マンガを作っていこう」という動きもしています。
コンテンツをプロデュースするというのは、すごく多種多様な方法を模索しつづけることが必要で、色々な方法にチャレンジできるやりがいを感じていますね。
まんが王国を使おうと思っている方へメッセージをお願いします
電子書籍のサービスはたくさんありますが、併用している方も多いと思います。私も一般書籍を買うときは、まんが王国とは別の電子書籍サービスを利用しています。
いろいろな電子書籍サービスを使い分けているとは思いますが、まんが王国は今売れているマンガだけではなく、「他の電子書籍サービスでは出会えないような作品を提供するサービス」を目指して運営しています。
まんが王国を運営しているチームメンバーもマンガが大好きなメンバーなので、「心を動かす面白いマンガを届ける!」ということを大切にしています。
まんが王国を活用して、面白いマンガを楽しんでもらえたら、とても有り難いと思います。
まんが王国のサービス内容の詳細はこちら。