最近TVや雑誌でIoT、IoTって聞くけど、いまいちよくわからない、自分たちの生活にどう影響するの?と思っている方も多いんじゃないでしょうか。
ものすごいスピードで様々なIoT製品が開発されていますが、市場に流通しているものは少なく、意識しなければ目に触れることは少ないためイメージしづらいでしょう。
そんな中、最新のIoT製品に触れられる施設があることをご存知でしたか?
今回は、そんなIoTをコンセプトにしたホステル「&AND HOSTEL(アンドホステル)」に取材に行ってきました。&AND HOSTELでは、施設内に最新のIoT製品が実装されていて実際に利用できます。ガジェット好きには特にたまらないと思います。
いざ「& AND HOSTEL」へ
今回向かったのは、2017年5月にオープンしたばかりの「&AND HOSTEL UENO」。上野にも浅草にも歩いていける、旅行者にとっては嬉しい立地です。銀座線の「稲荷町駅」から徒歩3分とアクセスも抜群です。
今回、取材に対応してくれたのは、&AND HOSTELのプロデュース会社「and factory」の茶置(ちゃおき)さん。普段は本社勤務なのに、わざわざ取材のためにホステルまで足を運んでくれるなんて男前ですね。
受付で渡されるのはカギじゃなくてスマホ!!
入口に入るとすぐに受付。
「IoTルーム」を予約した場合、そこで渡されるのはカギではなくスマホ。普通のホテルならスマホを出されたらびっくりするでしょうが、ここはIoTホステル。スマホの中には、部屋に設置されているIoTデバイスを操作するアプリが入っています。
部屋の前に着いたら、早速フロントで渡されたスマホでカギを開けます。
普段一人暮らしをしている人にとっては、中から鍵を開けてもらえるってほっとしますよね。ここで使われてるのがスマホで開けられるスマートロック「Qrio Smart Lock(キュリオスマートロック)」。鍵のサムターンを覆うようにして取り付けるだけで、ほとんどのドアで使える優れものです。
&AND HOSTELではスマホを使ってドアを開閉しますが、「手ぶらで解錠機能」を使えば、一定の距離まで近づくと、自動で解錠します。LINEやFacebookなどで友達とキーをシェアすることもできるので、自分がいなくても友達に先に入って待っててもらうこともできます。
部屋の中のIoT
カギを開けて中に入ると部屋はこんな感じ。
中に入ると、既に電気がついています。決して消し忘れなどではなく、開錠と同時に電気がつくよう設定されています。電球すらもインターネットに繋がっているのです。ここで使われているのは「Philips Hue(フィリップス・フュー)」というスマートIoT照明システムです。
単にスマホで電気を付けたり消すだけではありません。なんと1,600万色から好きな光色を選べます。さすがにそんな大量の色を1色1色試していたら朝になってしまうので、&AND HOSTELではオススメの色の組み合わせが設定されています。自分が落ち着く雰囲気を選んでください。
ちなみに、宿泊客の多くが色々と試してみるらしいのですが、結局ほとんどの方が「concentration(コンセントレーション)」に落ち着くとのこと。とげのない白い光が旅の疲れを癒してくれるそうです。
部屋に入ってから、エアコンをつけてテレビをつけてと、その度にリモコンを持ち替えるのは面倒ですよね。&AND HOSTELではスマホ1台で、TVもエアコンも空気清浄機も思いのままに操作できます。これで手元にスマホを1台おいておけば、部屋の環境は思いのまま。
ここで使われているTVやエアコンは市販のものですが、IoTとして機能しているのは、部屋の片隅にいる「iRemocon(アイリモコン)」という製品。
スマホからの信号をWi-Fiで受信し、TVやエアコンに赤外線で信号を送っています。メーカーを選ばず使えるので、家に一台あればリモコンを探す手間が省けます。
カーテンレールにもIoTが隠されています。
自動でカーテンの開け閉めをしてくれる「mornin'(モーニン)」。カーテンレールに簡単に取り付けられ、スマホで開閉を操作できます。動き方と音が少しアナログな感じでしたが、起床時間を予約しておけば、自動でカーテンを開けてくれるので、日光で気持ちよく起きられます。
部屋の外にもIoT
&AND HOSTELでは部屋の外でもIoT製品が楽しめます。&AND HOSTELはホテルではなく、ホステルなのでシャワーも洗濯機も共同です。
通常のホステルであれば、実際にシャワーや洗濯機をわざわざ見に行って、空いているかを確認しなければいけません。しかし&AND HOSTELならスマホで利用状況が確認できます。
ここで使われているのはSONYの「MESH(メッシュ)」というIoTガジェット。MESHには様々な種類があるのですが、ここで使われているのは、動きを感知するとアプリに通知してくれるタイプのMESH。
シャワー室のドアノブにMESHがついており、ドアノブの向きでシャワー室が使われているかどうかを判断します。実際に見せてもらうと、ドアノブを動かすたびにMESHが点灯するのがわかります。
これと同じ要領で、洗濯機の振動を感知してアプリに通知することで、洗濯機が空いているかを把握できるのです。
&AND HOSTELの凄いところは全てのIoT製品を1つのアプリで使えること
IoTルームで体験できる機能を紹介してきましたが、&AND HOSTELはただIoT製品が置いてあるだけではないんです。茶置さん曰く「一つひとつの製品を使うのに、アプリを閉じたり開いたりするのはスマートじゃない」とのこと。
&AND HOSTELで利用するアプリはプロュース会社であるand factory(株)が開発したもので、各IoT製品のメーカーにAPIを開放してもらい、一つのアプリで使えるようにしています。一つのアプリで全ての製品をコントロールするメリットは、アプリの切り替えコストを減らすだけではありません。
複数の製品を連動させることで、一つのアクションで部屋の環境を変えられます。例えば「ナイトモード」を押せば、電気は夜間灯になり、ドアの鍵は閉められ、カーテンは閉じ、エアコンは快適モードに切り替わります。
また外出時に鍵をロックすれば、電気も同時に消されるため、消し忘れの心配がありません。
スマートホステル「& AND HOSTEL」とは?
一通り「&AND HOSTEL」の魅力を紹介してきましたが、そもそも「&AND HOSTEL」とはなんなのでしょうか?
&AND HOSTELは日本初のスマートホステル
一言で言えば、IoTデバイスを集結させたホステルブランドです。ホステルとは、若い旅行者に安全かつ安心な宿泊場所を提供するという趣旨で作られた、宿泊施設のことで、海外旅行やバックパッカーでお世話になった人もいるでしょう。
ホテルと違い、相部屋もあったりシャワー・トイレは共同ですが、ランドリーがあるのは長期旅行者にとっては嬉しいですね。なによりもホテルよりも安価に泊まれるので、できるだけ安く旅行に行きたいという人は重宝するでしょう。
「&AND HOSTEL」の料金体系も下記のように安価で泊まれます。
「&AND HOSTEL UENO」には計12の部屋がありますが、IoT部屋は2部屋だけで、残りの部屋は通常のホステルと変わりません。「& AND HOSTEL」の宿泊客の8割は海外からの旅行客ですが、実際にIoT部屋を利用する9割は日本人。それも同業者が視察で利用しているそうです。IoT部屋ばかりに注目が集まるのも当然ですが、普通にホステルとして利用しても便利です。
& AND HOSTEL UENOは全国で3つ目のスマートホステル
2017年5月にオープンした「&AND HOSTEL UENO」は実は全国で3つ目のスマートホステルです。2016年8月には博多で1号店、2017年4月に浅草で2号店と急速に拡大しています。
施設によって導入しているIoT製品は違うようです。
博多、浅草、上野を選んだのはターゲットである「外国人旅行客」がよく訪れる土地だからそう。実際に「&AND HOSTEL UENO」は上野と浅草の間にあり、外国人観光客にとっても都合のいい立地といえるでしょう。
スマホ×不動産で描く新しい市場
そもそもなぜスマートホステルはできたのでしょうか?答えは「&AND HOSTEL」のプロデュース会社and factory(株)にあります。and factory(株)はスマホアプリやWebメディアを運営しているIT企業であり、自身でも「Smartphone Idea Company」と謳っています。スマホを軸としてビジネスを展開していくことを理念としています。
メディアやマッチングサイトなどのIT×不動産ビジネスはよく目にしますが、「スマホ×不動産」ビジネスを展開したのはユニークだと思いました。新しい領域への挑戦とはいえ、完全な門外漢ではなく、社内には不動産のスぺシャリトが大勢いるらしく、茶置さんも元は建設業界の出身らしいです。
「&AND HOSTEL UENO」は建物を取得しリノベーションをして開業したそう。今後は「&AND HOSTEL」の共創オーナーを募集して作っていき、フランチャイズのように展開する構想があるようです。日本中にIoTホステルが増えたら楽しそうですね。
今なら1FでAmazon Launchpadで販売している最新のIoT製品が展示中
「&AND HOSTEL UENO」の1Fでは現在、期間限定で「Amazon Launchpad ストア」で販売されている製品を展示しています。Amazonで販売されているIoT製品を、実際に手にとって見られる貴重な機会です。気にいった製品があれば展示しているPOPのQRコードから購入手続きもできます。
「Amazon Launchpad」とは?
Amazon Launchpadストアでは、スタートアップ企業が開発した最先端の製品を紹介・販売しています。IoT製品だけでなく、新しい発想や技術を使った製品が数多く出品されています。
さらに、開発エピソードや製品の紹介動画を見ることもできるため、まだ知られていないユニークなIoT製品についても理解を深めてから買えるため便利です。
Amazon Launchpadに出品されている様々なIoT製品
今なら、オンライン上のAmazon Launchpadストアで取り扱われているIoT製品のうち、&AND HOSTELが厳選したものを実際に試すことができます。
この中でも個人的に心惹かれたのが、「PSYCHO-PASS(サイコパス)」というアニメに出てくる「ドミネーター」という銃を再現した玩具。作中で公安局の執行官と監視官しか携帯を許されない特殊拳銃として描かれ、対象の犯罪指数を算出して鎮圧・排除するのに用いられていました。
これまでもドミネーターを模した玩具は発売されていましたが、今回は変形までする本格派です。はじめしゃちょーも購入したようで、えらく興奮しています。
玩具でありながら、作中と同じ声優の録りおろし音声が流れ、総数200個以上のフルカラーLEDが埋め込まれており、モードに合わせて発光状態が変化します。スマホとも連携でき、さまざまなモードで遊べます。価格は10万弱もしますが、男子ならだれもが心惹かれるアイテムですね。
ソフトバンクとの協業も~Future Marketing Unit~
&AND HOSTELはAmazonだけでなくソフトバンクとも協業しています。ソフトバンクが手掛ける、先進的な製品を体験型展示するプロジェクト「Future Marketing Unit(FMU)」を組み込んでいます。
Future Marketing Unitとは?
Future Marketing Unitとはソフトバンクが手掛けるプロジェクトであり、IoT商品を多角的に分析できる高性能展示台です。
スクリーンを操作することで、商品の紹介動画やその場での購入申し込み、アンケートの実施が可能です。ユーザーの操作内容を蓄積して、多角的にビジネスの可能性を分析できます。商品だけでなく、&AND HOSTELの感想もアンケートで答えることができ、アンケートに答えるとキャンディーがもらえちゃいますよ。
Future Marketing Unitの製品
Future Marketing Unitの製品数はAmazon Launchpadストアほど多くありませんが、ユニークな製品が揃っています。
ここで個人的に心惹かれたのは、宙に浮くスピーカー「Mars(マース)」。UFOのような形のスピーカーが宙に浮かんで回転し始める姿は幻想的です。
上のUFOの部分だけでもスピーカーとして機能しますが、下の部分がウーファーになっており、一緒に使うとより音質が良くなります。Bluetoothを使って、スマホで操作できるスピーカーは多いですが、Marsには専用アプリがあるほか、スマホとの距離を検知して近づくと音量を絞り、離れると音量を上げるというユニークな機能も備えています。
&AND HOSTELは未来の生活を先取りできるホステル
IoT製品を実際に体験できるスマートホステル「&AND HOSTEL」。近未来の漫画やアニメを見て、少し先の生活を夢見た人は多いと思いますが、そんな世界を少し先取りできる空間でした。
今回案内していただいた部屋では4つのIoT製品が利用できましたが、ホテルによってはもっと多くの製品が体験できるホテルもあります。また、今後も生活に密着したIoT製品をどんどん取り入れていくとのことで、とても楽しみです。
旅行者だけじゃなく、IoTなどの最新技術に興味がある方にもとてもお勧めです。
ちなみにIoTってそもそもなんだっけって方は、シリコンバレー界隈でも話題になったと噂のこちらの記事をどうぞ。