現実世界の苦悩から解放されたいという願いがVRという技術で少しづつ実現され始めてきました。この現実世界がもしファンタジーだったら、という願いがARという技術で少しづつ実現され始めてきました。
最近よく耳にするVRとAR。「V(ヴィクトリー)ガンダム」と「ガンダムA(エース)」ぐらいの違いにしか思ってない人もいるかと思いますが、実はけっこう違います。
この記事では、「VR」と「AR」の違いだけでなく、関連技術である「MR」と「AV」、さらにはおまけに「SR」と「PM」についても説明していきます。
今やこれだけ仮想世界を体験する技術が発展してきたのは、それだけ現実逃避したいという人類の願いの表れなのでしょうか。あなたの現実逃避に最適なのはどの技術なのか見ていきましょう。
VR(Virtual Reality)~仮想現実~
VRとは「Virtual Reality(ヴァーチャル・リアリティ)」の略で、日本語で言うと「仮想現実」のことです。VRは100%のヴァーチャルです。現実には存在しな世界や、存在していても体験するのが難しい世界を作り、あたかもその場にいるような疑似的な体験をさせる技術です。人間の情報の大半が視覚による映像情報なため、VRゴーグルと呼ばれるゴーグルで360度映像で疑似体験を作り出すのが一般的です。
VR技術が利用されている事例を別記事でまとめているので、興味のある方は合わせてお読みください。
またVR体験に不可欠なVRゴーグルに、どのような技術が用いられ、どのような製品があるかも別記事にまとめてあります。
YouTubeの360°映像です。動画上をドラッグすることで視点の向きを変えられます▼
MR(Mixed Reality)~複合現実~
「MR」とは「mixed riality(ミックスド・リアリティ)」の略で、日本語でいうと「複合現実」のことです。仮想空間を100%作り出すVRに比べ、MRは仮想空間と現実空間を組み合わせる技術のことを指します。
仮想空間と現実空間を組み合わせるアプローチには2つあり、この後説明する「AR」と「AV」に分かれます。つまり「MR = AR + AV」と言えます。ARとAVは対に位置する概念でありながら明確に区分できるものではなく、シームレスな関係と言えます。
「AV」という単語はあまり使われることがなく、「VR、AR、MR」の組み合わせで使われることが多いです。しかし、厳密に言うと「VR、AR、AV」が正しい分類と言えます。
AR(Augmented Reality)~拡張現実~
ARとは「Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)」の略で、日本語で言うと「拡張現実」のことです。MRのアプローチの一つで「拡張現実」の名前通り、現実空間をベースにコンピュータで作られた映像や画像を重ね合わせる技術のことです。
VRがVRゴーグルを利用して体験するように、ARもARゴーグルを利用します。VRゴーグルが顔半分を覆ういかつい見た目に対して、ARの場合は現実空間が基調なので、シースルー型(透過型)の場合が多いです。中にはVRゴーグルのような見た目で、VRにもARにも対応しているゴーグルもあります。
AR技術で最も身近なのは2016年に大流行した「ポケモンGO」でしょう。スマホを通した現実世界に、コンピューターで作ったポケモンを重ねています。
また、スウェーデンの家具メーカーIKEAでは、スマホとカタログを使って、部屋に家具を置くシュミレーションができる無料アプリも開発しています。このアプリにより、家具のサイズ間違いや部屋に置いたらイメージと違ったということを予防しているのです。
AV(Augmented Virtuality)~拡張仮想感~
AVとは「Augmented Virtuality(オーグメンテッド・ヴァ―チャリティ)」の略で、日本語でいうと「拡張仮想感」のことです。MRのアプローチの一つで、仮想空間をベースに現実世界を複合させる技術のことです。
VRではセンサーなどを用いなければ、自分の手を認識することはできません。しかし、AVの場合は、仮想空間を作り出した上に、現実世界の情報も感知しているため、仮想空間に自分の手を出現することができるのです(仮想空間で見れるのは仮想の手)。
ARとAVは明確に区別することはできず、総じてMRと呼ばれることが多いです。
下記はマイクロソフトの「ホロレンズ」の動画です。題名では「mixed reality」となっていますが、仮想空間の割合が高く、AVよりのMRと言えるでしょう。
SR(Substitutional Reality)~代替現実~
SRとは「Substitutional Reality(サブスティテューション・リアリティ)」の略で、日本語でいうと「代替現実」のことです。これまで紹介した技術は多かれ少なかれ、仮想世界を表現するものでしたが、SRは「過去の現実世界×現在の現実世界」を組み合わせる技術と言えます。現在見ている世界に、過去の現実世界を重ねることで、本当は存在しないものがあたかもそこに存在しているかのように錯覚させる技術です。
VRの課題の一つに、まるで本当にその世界にいるかのように感じさせる没入感というものがありますが、SRはもはや自分で没入したことにすら感じられないレベルなのです。まだ私たちが実際に体験できる場はありませんが、SRは今後、精神疾患に対する新たな心理療法の糸口の一つとも言われています。
PM(Projection Mapping)~プロジェクション・マッピング~
プロジェクションマッピングとは、プロジェクタのような映写機器を用いて、建物や物体に映像を映し出す技術のことを言います。VRやMRとは概念が異なりますが、CG技術を用いて仮想空間と現実空間を組み合わせるという意味では「プロジェクションマッピング」も近い分野と言えるでしょう。
日本ではディズニーランドをはじめ、姫路城や会津若松城でのマッピングプロジェクトが有名です。ただ、コンピューターで作ったCGを投影しても建物の凹凸が影響して、キレイには映らないため、建物の構造に合わせたCGを作る高度な技術が必要とされています。
仮想空間技術が生活、仕事を変革していく
あなたの現実逃避に最適な仮想空間技術はありましたか。
まだまだ課題の多い技術分野ですが、じわじわと私たちの生活に浸透し始めてきています。映画やマンガでみたような、仮想空間で大冒険する体験が、私たちの孫の世代くらいで実現されているかもしれません。
現在、私たちが仮想空間を最も手軽に体験できるには「スマホVR」でしょう。スマホ用のVRゴーグルであれば数千円で購入できます。もう少し本格的に楽しみたいので「PSVR」、PCの知識もあるならば「ハイエンドVR」という手もあります。
こちらの記事では、都内でVRが楽しめるスポットをまとめています。
また、VRではなくARが体験したいという方には、テクノスポーツと呼ばれる「HADO」もおすすめです。定期的に無料の体験会も開いているため、ARを初めて体験するという人におすすめです。
仮想空間でモンスターに立ち向かうのを夢見るのはいいですが、まずは現実世界で立ちはだかる問題に立ち向かいましょう。あなただけがあなたの人生の主人公なのですから。