MNO・MVNO・MVNEとは?三者の違いや役割を図解で解説

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最近よくMVNO(格安SIM)という言葉を耳にしますが、「そもそもMVNOって何?」「MVNOはなぜ安いの?」「MNOとMVNOとMVNEの違いって何?」「大手キャリアとどう違うの?」と疑問に思っている人もいるでしょう。

それらの疑問は格安SIM業界の仕組みを知れば解消できます。今回はMNO・MVNE・MVNOのそれぞれの役割と業界の仕組みを紹介していきます。この記事を読めば、MVNOがどういうサービスなのか理解が深まるでしょう。

MNOとは?

MNOとは「Mobile Network Operator(モバイル・ネットワーク・オペレーター)」の略で、読み方は「エム・エヌ・オー」です。日本語に訳すと「移動体通信事業者」となります。

MNOとは、携帯電話等のモバイル用の回線網を所有しており、自社ブランドで通信サービスを提供している会社のことです。簡単に言うと、日本だとau、docomo、ソフトバンクといった大手携帯キャリアのことです。

MVNOとは?

MVNOとは「Mobile Virtual Network Operator(モバイル・ヴァーチャル・ネットワーク・オペレーター)」の略で、読み方は「エム・ブイ・エヌ・オー」です。日本語では「仮想移動体通信事業者」という意味です。MNOにVirtual(仮想)という言葉が追加されています。

MVNOとは、自社で回線網を持たずに、MNOから回線網を借りて通信サービスを提供している会社です。簡単に言うと、格安SIM事業者のことです。

なので、キャリアと契約しようが、格安SIMと契約しようが、実は同じ回線を使っていることになります。

格安SIMとMVNOを同義と思っている方もいますが、厳密に言うと格安SIMという「サービス」を運営している「事業者」がMVNOです。なので、「MVNO=格安SIM」ではなく、「MVNO=格安SIM事業者」ということになります。

ではなぜ、MVNOは生まれたのでしょうかか?その答えは、1990年代にまで遡ります。

MVNOが生まれた経緯

1990年代当時は、まだ通信市場は通信回線を保有している大手キャリアによる寡占状態でした。そんな中、「自ら通信設備を持たずに、付加価値を作るサービス事業者」の必要性を説いたのが、1996年に日本通信を創業した三田聖二氏です。

三田氏に影響を受けて、2000年に総務省が「次世代移動体通信システム上のビジネスモデルに関する研究会」を設置。「モバイルネットワークを開放することで、多様な通信サービスが展開される」という、当時としては画期的な議論がされました。

日本通信が初めてのMVNOとして「b-mobile」をスタートさせました。

そして2017年では、600社以上のMVNOが誕生しています。これは三田氏がMVNOという構想を用いて通信業界に市場開放を訴えた結果です。MVNOが誕生した経緯について、さらに詳しく知りたい方はこちらを読んでみてください。

格安SIMが安い3つの理由

キャリアと格安SIMでは、なぜ価格に違いが出るのでしょうか?

価格の違いには「通信設備」「店舗」「開発コスト」の3つが影響をしています。


大手キャリアは自社で基地局や収容局を作り、メンテナンスもしているため、設備投資や維持に莫大な費用がかかります。大手キャリアの料金にはこの設備投資の費用が含まれています。MVNOも回線を借りる際に、設備投資費を払っていますが、その費用はMNOより大幅に少ないです。

また大手キャリアは、スマホの販売会社的な役割だけでなく、自社の戦略に沿った端末を作れるよう、携帯端末の開発にも携わっているのです。そのため、端末の開発コストも支払っています。それに対して、メーカー機能を持つ「FREETEL」以外のMVNOは、SIMフリースマホをそのまま再販しているだけのため、開発コストがほとんどかかりません。

そして、MVNOの多くはリアル店舗を持たずに、主にオンライン上でサービス展開をしています。それにより、店舗にかかる地代や人件費を削ることができます。

MVNOを陰で支えるMVNE

現在MVNOの事業者数は600社以上とも言われていますが、その半数以上は契約数が1,000にも満たない小規模MVNOです。これだけ多くの事業者、それも小規模な事業者が通信業界に参入できたのは、「MVNE」の影響が大きいです。

MVNEとは?

MVNEとは「Mobile Virtual Network Enabler(モバイル・ヴァーチャル・ネットワーク・イネイブラー)」の略で、読み方は「エム・ブイ・エヌ・イー」です。日本語で言うと「仮想移動体サービス提供者」となります。

Enabler(イネイブラー)とは「~できるようにする物/者」の意味で、分かりやすく言うと「裏方」です。MVNEはMVNO事業を手伝う立場ということになります。


格安SIM事業を始めるには回線や端末の調達のほか、課金・請求やサポート体制を整えなければいけません。さらに端末の調達にはMOQ(最低発注数量)というものがあり、数千、数万以上の取引でなければ対応してくれません。

このような、事業を始める際の壁を乗り越える支援をしてくれるのが、MVNEです。IIJやNTTコミュニケーションズなど大手のMVNOは、自社で格安SIMサービスを展開しながら、他社のMVNO事業参入の支援もしています。

MVNOの2つの事業モデル「SIM再販型」「レイヤー2接続型」

実はMVNOの事業モデルも2つに分けることができ、「SIM再販型」と「レイヤー2接続型」に分けられます。「レイヤー2接続」とはネットワーク接続の一種です。

「SIM再販型」はMNOやMVNEが用意した通信サービスを売るだけです。しかし、「レイヤー2接続」は独自で設備を用意しなければなりません。

参入障壁 収益性 差別化
SIM再販型 低い 低い 難しい
レイヤ2接続型 高い 高い 容易

SIM再販型は、初期投資が小さく参入障壁が低いので、すぐに事業を始められますが、収益性が低くサービスの差別化が難しいです。対して、レイヤー2接続は、大きな初期投資が必要で参入障壁は高いですが、収益性が高く独自サービスを提供できるため、差別化がしやすい利点があります。

ここまで格安SIM市場が盛り上がりを見せたのは、レイヤー2接続型の企業が増えて、個性的なサービスが増えたからと言っても過言ではありません。

日本で初めてレイヤー2接続のMVNOが生まれたのは2009年で、IIJと日本通信が行いました。その後、この2社は、レイヤー2設備を他の新規参入事業者にも貸し出したのです。おかげで様々な事業者がレイヤー2接続で格安SIM市場に参入できるようなりました。

多様化するMNVE

これまでのMVNEは、自社でMVNO事業を行っている業者が他社のMVNOを支援していました。しかし、最近ではMVNE専属の企業も出現してきました。

格安SIM市場を作りあげた日本通信は2016年、MVNO事業を撤退しMVNE事業に専念することを発表しています。2017年にはこれまで回線を貸し出していなかったソフトバンクのMVNOを始めました。が、MVNO市場に復帰したというよりは、ソフトバンクの門戸を開き、格安SIM市場を活発化させるのが目的のようです。

また、最近では、他社のシステム開発、運用保守、キッティング(セットアップ)などを行うMVNEも増えています。今後はユーザーサポートやロジスティクスなど、MVNOの業務を細分化して支援するMVNE事業者が増えそうです。

  • 回線の提供・貸し出し
  • システム開発
  • 運用保守
  • キッティング
  • ユーザーサポート
  • ロジスティクス
  • さらに細分化された業務

MVNE事業者一覧

MVNOの技術力やサービスはMVNEによる部分も多く、「どのMVNEを選ぶか?」はMVNOにとって大きな戦略の一つとなっています。例えば、「高速通信の切り替え機能」などは、どこのMVNEでも実現できるわけではなく、「IIJ」や「NTTコミュニケーションズ」など大手のMVNEだからこそ実現できているのです。

MVNOも環境に合わせてMVNEを切り替えています。MVNO選びの基準の一つにMVNEという指標も持ってはいかがでしょうか。下記では大手MVNOのMVNEを紹介します。

MNO MVNE MVNO
NTTドコモ NTTコミュニケーションズ OCN モバイル ONE
LINE モバイル
NfMo
IIJ IIJmio(タイプD)
DMM モバイル
イオンモバイル
フリービット DTI SIM
TONE
楽天コミュニケーションズ 楽天モバイル
So-net Nuro モバイル
プラスワンマーケティング FREETEL
ビッグローブ ビッグローブ SIM
ケイ・オプティコム mineo(Dプラン)
フリービット、IIJ、日本通信 U-mobile
au by KDDI IIJ IIJmio(タイプA)
ケイ・オプティコム mineo(Aプラン)
UQコミュニケーションズ UQ モバイル

自社でSIMを発行できるフルMVNO

2017年になって、新しい業態として「フルMVNO」と呼ばれるものが出てきました。フルMVNOとは、どういった事業者なのでしょうか?また、フルMVNOが出てきたことで、私たちの生活にどういったメリットが生まれてくるのかをまとめました。

フルMVNOとは?

フルMVNOとは独自にSIMカードを発行できるMVNOのことです。私たちが使っているMVNOのSIMカードは、実はMVNOではなくMNOが発行したSIMカードです。MNOから発行されたSIMカードをユーザーに提供しているMVNOのことを「ライトMVNO」といいます。現在、ほとんどのMVNOがライトMVNOです。

2016年8月にIIJが、自社でSIMカードを発行できるようになり、初のフルMVNOとなりました。

MNOによるデータベース「HLR/HSS」の解放

SIMの中には加入者の情報が書き込まれています。その情報を読み込んで、各種サービスへの接続許可などが行われています。この加入者情報のデータベースのことをHLR/HSS(Home Location Register/Home Subscriber Server)と言い、MNOのみがこのデータベースを保有していました。

HLR/HSSとSIMとの関係で重要なのが、「どんなサービスをどのくらい使ったか」という情報を管理できる点です。また、HLR/HSSはセキュリティとも大きく関わっており、運用するには高額な投資設備が必要です。これまでのMNOは、MVNOに「HLR/HSS」の情報を公開してこなかったのです。

しかし、サービスの差別化を狙うIIJと市場競争の促進を狙う総務省が、MNOに対して「HLR/HSS」の解放を呼び掛け続けました。そして遂に、IIJが初めて「HLR/HSS」を持つことになったのです。「ライトMVNO」から「フルMVNO」が誕生した瞬間です。

スマホに挿すだけのSIMで、IoT分野へ活用が進む

フルMVNOの強みを本格的に生かせるのは、IoT(ものをインターネットにつなぐ)分野です。例えば自動車などの製品にSIMを組み込んでおけば、出荷する国の通信環境に合わせてキャリアを切り替えて通信できます。この構想は「eSIM(Embedded SIMの略、組み込みSIM)」と呼ばれており、通信業界で注目を集めています。

フルMVNOになるには多額の投資が必要になるため、フルMVNOになれる企業は限られます。IIJは、フルMVNOになったことで、MVNOを支援できる幅が広がるので、今後MVNEとしての存在感をより強めていくことになるでしょう。

IoTってなんだっけ?という方はこちらをご覧ください。

まとめ:まだまだ市場拡大が期待される格安SIM市場

2008年にiPhoneが日本で発売された時、日本の携帯市場に大きな衝撃が走りました。

スマホの普及率が7割以上になってきた現代、スマホ端末の機能によって大きくイノベーション、差別化するのは難しいのが現状です。今後、携帯のユーザービリティを上げるためには、大手キャリアとメーカーによる連続的イノベーションよりも、小規模MVNOによる破壊的イノベーションが必要になってくるでしょう。

日本通信の創始者、三田氏がキャリアに市場開放を求め、MVNOとい市場を切り開きました。今後はMNO、MVNE、MVNOがそれぞれの強みを活かしながら協力して、よりユーザーに寄り添ったサービスが生まれることを期待しています。

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