この記事では初心者でも格安SIMの全体像を理解できるように解説していきます。格安SIMが安い理由やSIMカードの種類、メリット・デメリットまで網羅しています。
これを読めば、「格安SIMは複雑で難しそう」というイメージが消え去ると思うので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
格安SIMとは?
SIMは「SIMカード」とも呼ばれますが、正式名称は「Subscriber Identity Module Card」です。日本語に訳すと「加入者を特定するためのカード」となります。
格安SIMとは、その名の通りauやドコモなどの大手キャリアのSIMに比べて料金の安いSIMのことです。
回線は大手キャリアから借りている
格安SIMは大手キャリアから回線を借りています。
格安SIMを契約する前に、「どの回線を使っているのか?」を確認しておいた方が良いです。なぜなら、回線の種類によって今あなたが持っているスマホをすぐに使えるかどうかが変わるからです。
例えば、楽天モバイルはドコモ回線の格安SIMなので、ドコモのスマホならSIMロックを解除しなくても、そのまま使えます。しかし、楽天モバイルをauのスマホで使いたい場合は、SIMロックを解除する必要があります。
各回線の代表的な格安SIMは以下の通りです。
- ドコモ回線の代表的な格安SIM
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- 楽天モバイル
- DMMモバイル
- OCN Mobile ONE
- au回線の代表的な格安SIM
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- UQモバイル
- mineo Aプラン
- IIJmio タイプA
- ソフトバンク回線の代表的な格安SIM
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- Y!mobile
- 開幕SIM
格安SIMでも電話番号をそのままで乗り換え(MNP)可能
「格安SIMは今の電話番号がそのまま使えるのか?」と思っている人もいるでしょう。格安SIMでも、今使っている番号をそのまま使って乗り換える(MNP)ができます。なので、友人に「番号が変わりました」という連絡をしなくても済むわけです。
また、MNPをせずに新規で格安SIMを申し込んだ場合は、新しい電話番号が発行されます。
格安SIMは3大携帯キャリアに比べて料金が安い
大手キャリアの場合、毎月のスマホ代が6,000円以上かかることが多いです。実際、毎月のスマホ代は平均6,500円というデータがあります。それに対して、格安SIMの中には毎月1,000円程度で、電話とインターネットが使えるものもあります。
なぜ、格安SIMは平均より数千円も安い料金でサービスを提供することができるのでしょう?それは、格安SIMは以下2つの理由から大手キャリアに比べてコストがかかっていないからです。
安い理由①設備投資をしていないから
大手3キャリアは通信サービスを提供するために、基地局などの通信設備に莫大な投資しています。そのため、莫大なコストがかかっています。
それに対して、格安SIMを提供している会社は、auやドコモの通信回線をレンタルしているため、設備投資をすることなく通信設備を利用できています。
そのため、0から通信設備を準備した大手キャリアに比べて、サービスを提供するためのコストがかかっていないのです。
3大キャリアに比べてコストがかかっていないとはいえ、使っている回線はドコモやauと同じです。なので、ドコモやauの使える場所なら格安SIMも使えます。
安い理由②店舗を持っていないから
3大キャリアは全国にauショップやドコモショップなどの店舗を運営したりしているので、人件費や店舗の家賃などのコストがかかっています。
しかし、格安SIMの提供会社はauショップやドコモショップなどのような実際の店舗を持っていません。そのため、人件費や店舗の家賃が発生しないため、大手キャリアに比べて大きくコストを削減することができるのです。
なお、格安SIMは実際の店舗はないもの、サポートコールやチャットなどで質問は可能です。なので、困った時ではスタッフに質問して助けてもらえます。
回線をレンタルしていることと、実際の店舗を持っていないという理由から格安SIMは、3大キャリアより安い提供できていのです。
SIMの種類は「データSIM」「SMS付きSIM」「音声通話SIM」がある
SIMは大きく分けると「データSIM」「SMS付きSIM」「音声通話SIM」に分けられます。
- SIMの3つの週類
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- データSIM :インターネットなどのデータ通信しかできないSIM
- SMS付きSIM:データSIMにショートメッセージが送れるSMS機能が付きのSIM
- 音声通話SIM:データ通信に加えて通話もできるSIM。
各SIMで何ができるかを表にまとめると以下のようになります。
データ通信 | SMSの送受信 | 電話の発着信 | |
---|---|---|---|
データSIM | 〇 | × | × |
SMS付きSIM | 〇 | 〇 | × |
音声SIM | 〇 | 〇 | 〇 |
データSIM
スマホやタブレットでインターネットの閲覧だけ使う場合は、データ通信SIMを使います。
「データSIM」「データ通信SIM」「データ専用SIM」「データ通信専用SIM」などと様々な呼ばれ方をしていますが、これらは全て同じものを指しています。
電話番号が貰えないので、電話の着信・発信はできません。
SMS付きSIM
データ通信とSMSが使えるSIMです。なので「SMS付SIM=データSIM+SMS機能」です。
料金は、ほとんどのブランドで、だいたいデータSIMの料金に月額200円くらい追加すればSMS付SIMにできます。
「データSIM」「SMS SIM」「音声SIM」と最初からSIMを3分類しているブランドもあれば、SMSを自由に追加できるオプションにしているブランドもあります。
音声通話SIM
音声通話SIMはデータ通信に加えて電話も使いた場合に使います。音声通話SIMにはSMS機能も付いています。
「音声通話SIM」これだけ見ると、電話をするためだけのSIMに見えます。しかし実際は、データSIMに音声通話機能がついたSIMなのです。そのため、データ通信もできます。わかりにくいですね。
ちなみに、データ通信SIMを音声通話SIMに切り替えたり、音声通話SIMをデータ通信SIMに切り替えたりも可能です。ただし、2,000円ほど費用が発生してしまうので、契約時に自分が必要な方を頼むようにしましょう。
SIMカードとは?SIMカードには3種類のサイズがある
SIMカードとは、スマホ端末に挿入する小さいチップのことで、SIMカードを挿入することで、初めてデータ通信や通話ができるようになります。
格安SIMを契約する時に注意が必要なのが、SIMカードのサイズです。実はSIMカードには以下の3つのサイズがあります。
標準SIM
標準SIMは、もっともサイズの大きいSIMです。iPhone3Gや昔のガラケーやAndroid端末に使われていたタイプ。最新の機種にはほとんど使われていません。
MicroSIM
マイクロSIMは、標準SIMよりサイズの小さいSIMです。iPhone4sや一部のAndroid端末に使われているタイプです。
nanoSIM
nanoSIMは、マイクロSIMよりさらに小型のSIMです。iPhone5以降のiPhoneはすべてこのナノSIMです。なお、一部のAndroidでも使われています。
ほとんどの格安SIMキャリア会社で基本的には3タイプ全て用意されています。しかし、「UQモバイル」ではマイクロSIMとナノSIMしか提供しておらず、標準サイズのSIMを選択できない等の例外も一部あります。
SIMのサイズを間違えると、使いたいスマホやタブレットにSIMを挿せないので使い物になりません。よって、どのサイズのSIMで契約すればいいのかは、事前によく確認しておきましょう。
格安SIMの3種類の電話「かけ放題」
通話をよくするなら、格安SIMの「かけ放題」についても覚えておきましょう。格安SIMでは「かけ放題」と言っても、無制限で通話料が無料になるわけではありません。格安SIMのかけ放題は、以下の3タイプに分けることができます。
①「かけ放題なし」タイプ
かけ放題がまったく付いていない状態です。この場合は、1分あたり40円の通話料が発生します。なので、10分間通話をすると400円の通話料が発生してしまいます。
②「最初の○分無料」タイプ
かけ始めの○分間は通話料が発生しないタイプです。例えば、1分以内の通話なら、100回かけても料金が発生しません。格安SIMの「かけ放題」では、このタイプが多いです。分数は5分、10分が多いです。
③「無制限通話し放題」タイプ
1何時間通話をしてもまったく通話料金が発生しないタイプです。auやドコモなど大手キャリアはこのタイプのかけ放題です。格安SIMの中で、この通話し放題に対応している格安SIMは以下の2社のみとなっています。
- イオンモバイル
- Y!Mobile
格安SIMのメリット4つ
「具体的に格安SIMにするとどんなメリットがあるの?」と思っている人もいるでしょう。格安SIMには大手キャリアにはない様々なメリットが存在しています。それは以下の4つです。
- 格安SIMのメリット4つ
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- ①料金が安い
- ②解約金が発生しづらい
- ③料金プランが豊富
- ④独自のサービスやキャンペーンが利用できる
①料金が安い
格安SIMと呼ばれるだけあって、毎月の料金が大手キャリアに比べて安いです。大手キャリアのSIMから格安SIMに乗り換えるだけで、毎月3,000円以上節約できるという場合もあります。
②解約金が発生しづらい
大手キャリアの場合は、「最低2年は使ってください」という最低利用期間があります。「2年縛り」とも呼ばれていますが、2年以内に解約をしたり、他社に乗り換えたりすると解約金が必要になります。
しかし、格安SIMの場合は、最低利用期間が1年や6カ月と短かったり、最低利用期間がなかったりします。よって、大手キャリアに比べて、解約や他社への乗り換えで解約金が発生しづらいです。
③料金プランが豊富
格安SIMでは料金プランが何種類も用意されていることが多いです。なので、自分にぴったりのプランを選びやすいのが魅力です。
④独自のサービスやキャンペーンが利用できる
格安SIMを提供している会社の独自のサービスを受けることができます。例えば、DMMモバイルでは利用金額によって、DMMのポイントが貯まるサービスがあります。
格安SIMごとの独自サービスについては後の章で詳しくお伝えします。
また、格安SIMによっては「本体代金割引」や「利用料割引」や「キャッシュバック」などのキャンペーンも行なっています。キャンペーンを利用すれば、格安SIMをよりお得に利用することができます。
格安SIMの10個のデメリットと対処法
一方で格安SIMにはデメリットも存在します。このデメリットを知らないと格安SIMに切り替えてから不便な思いをする可能性があります。
- 格安SIMの10個のデメリット
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- 混雑時は通信速度が遅くなりやすい
- LINEのID検索ができない
- 支払い方法が「クレジットカードのみ」がほとんど
- キャリアメールが使えない
- 「無制限かけ放題」がないため、通話料金が高くなりやすい
- 最新のiPhoneをSIMとセットで安く購入できない
- テザリングが使えない端末がある
- 回線と端末の相性がある
- 基本的には店舗サポートがない
- 初期設定を自分でする必要がある
デメリット①混雑時は通信速度が遅くなりやすい
格安SIMの一番のデメリットであり、多くのユーザーが契約後に最も不満に感じる部分は「格安SIMの通信速度が遅い」点です。
先ほどもお伝えしましたが、大手キャリアが自分の通信設備を自由に使えるのに対して、格安SIMは通信設備の一部を借りている状態です。なので、朝と夜の通勤時間やお昼の休憩時間等は、回線が混雑して通信速度が遅くなりやすいのです。
対処方法としては、「サブブランド」を選ぶことがオススメです。「サブブランド」とは、大手キャリアが提供している格安SIMで、UQモバイルとワイモバイルがあります。この2社は大手キャリアとの繋がりが強いので、通信速度が格安SIMより速いです。
UQモバイルの詳細はこちら。
ワイモバイルの詳細はこちら。
デメリット②LINEのID検索ができない
格安SIMでも、大手キャリアと同様にLINEのトークや無料通話が使えます。しかし、ID検索機能が使えません。ID検索を利用するには、年齢認証が必要なのですが、格安SIMでは年齢認証ができない仕様になっているからです。
ID検索を利用したければ、ID検索に対応している「LINEモバイル」または、「ワイモバイル」の利用がオススメです。
また、QRコードや自分のLINEのURLを発行して友達登録ができます。くわしいやり方は、以下の記事で紹介しています。
デメリット③キャリアメールが使えない
格安SIMに乗り換えると、大手キャリアで使用していたキャリアメールのメールアドレス(@docomo.ne.jpや、@softbank.ne.jp、@ezweb.ne.jp)が使えなくなります。
とはいえ、LINEやFacebookなどのSNSやGmailを使用している方が多いので、キャリアメールが使えなくても昔ほど不自由はしないでしょう。どうしてもキャリアメールが使いたい場合、UQモバイル(@uqmobile.jp)やワイモバイル(@ymobile.ne.jp)なら月額200円でキャリアメールが利用可能です。
デメリット④「無制限かけ放題」がないため、通話料金が高くなりやすい
先ほどもお伝えした通り、大手キャリアの場合は、何時間電話をしても通話料がかからない「無制限かけ放題」があります。しかし、格安SIMでは、「無制限かけ放題」が用意されていない場合が多いです。
よって、長時間通話をする人は「格安SIMに変えたら通話料が高くなって、結局毎月のスマホ代が高くなってしまった」ということが起こる可能性もあります。
格安SIMの無制限電話かけ放題については以下の記事でまとめています。
デメリット⑤支払い方法は「クレジットカードのみ」で口座振替に対応していない
格安SIMの契約の支払い方法は「クレジットカードのみ」がほとんどです。よって、「クレジットカードを持っていない」という人や「クレジットカードを使いたくはない」という人にとっては不便と感じるかもしれません。ただ、デビットカードや口座振替で契約することができる格安SIMも中にはあります。
ただ、2016年11月下旬から楽天モバイル銀行口座振替に対応していったように、UQモバイル、ワイモバイルなど格安SIM会社も銀行口座で支払えるようになっています。
クレジットカードがなくても契約できる格安SIMは、以下の記事で紹介しています。
デメリット⑥最新のiPhoneをSIMとセットで安く購入できない
格安SIMでは、大手キャリアと違って、最新のiPhoneを契約時にセットで安く購入できません。
対処方法としては、Appleの公式サイトやApple StoreでiPhone本体だけ購入して、格安SIMを挿して使うことです。
Appleの公式サイトApple Storeで販売されているiPhoneは全てSIMフリーなので、どの格安SIMと契約しても使用が可能。海外のSIMカードも利用できるので、海外旅行で現地のSIMを挿して使えます。
ただし、大手キャリアと違って、機種代金の割引がないので、端末代は10万円くらいになります。それでも格安SIMの方が月額料金は安いので、トータルで考えると大手キャリアよりも安く最新のiPhoneが使えます。
デメリット⑦回線と端末の相性がある
格安SIMには、回線と端末の相性があります。格安SIMを購入して、端末を使おうと思ったら、「持っているスマホでは格安SIMが使えない」こともあります。たとえば、ドコモの回線を使っている格安SIMは、auのスマホが動かない場合もあります。
自分の持っている端末で格安SIMが使えるかは、各格安SIMの会社のHP上の「動作確認端末一覧」にて確認できます。
デメリット⑧テザリングが使えない端末がある
テザリングとは、スマホをモバイルWi-Fiルーターの代わりにする機能です。
テザリングは大手キャリアでは、ほとんどの端末で利用できますが、auやソフトバンクの回線を使っている格安SIMでは、テザリングが使えない端末が存在するので注意が必要です。ドコモ回線の格安SIMの場合、多くの機種でテザリングが可能。
テザリングが使えるかも、各格安SIMの公式サイトの「動作確認端末一覧」で確認できます。
デメリット⑨基本的には店舗サポートがない
大手キャリアの場合は、auショップやドコモショップなどの店舗に行けば、修理や操作方法についてサポートをしてもらうことができます。しかし、格安SIMの場合は、コスト削減のため、実際の店舗がない場合がほとんどです。
サポートダイヤルは用意されていますが、「店舗でスタッフの人に対応してほしい」と思う人は「不便」と感じる可能性があります。
デメリット⑩初期設定を自分でする必要がある
大手キャリアでスマホを購入したときは、店員さんが初期設定をしてくれます。しかし、格安SIMの場合、自分で初期設定を行わないと利用できません。ちょっと面倒ですね。
ただし、格安SIMでも、公式ページのチャットや電話で質問をすれば、スマホに詳しくない人でもカンタンに設定ができますよ。「(自分が契約した格安SIMのブランド名)+APN設定」とGoogleで検索すれば、解説ページが出てきますよ。
まとめ
この記事では、そもそも格安SIMとは?という方を対象に格安SIMの全体像について解説しました。一見、取っつきがたい格安SIMですが、ひとつひとつ整理していけば、実はそんなに難しくありません。
しかし、格安SIMブランドは多数乱立しているため、自分に合ったブランドを探すのはまた一苦労です。そんな方を対象に、こちらの記事では、人気でオススメの格安SIMを9選に絞って紹介しているので参考にしてみて下さい。