2020年の東京オリンピックに向けて、日本中のスポーツ熱が高まっている中、最新技術を取り入れた「テクノスポーツ」という競技が注目を集めているのはご存知ですか。
初の、そして唯一のテクノスポーツである「HADO」は、ワールドカップが開催され、その様子は「ニコニコ動画」でも放映されています。とは言え、まだまだ体験できる施設も少ない「HADO」の、無料体験会が開催されるということで、その様子を取材に行ってきました。
「テクノスポーツって何?」「HADOって聞いたことあるけどまだやったことない」という人も、この記事を見ればHADOがどんな競技か分かるでしょう。興味がある方はぜひ次の無料体験会に足を運んでみてください。
プロローグ~これがHADOだ~
2017年6月9日、虎ノ門駅から向かったのは総合エンターテイメント企業「(株)ポニーキャニオン」のオフィス。
取材のため開場30分前につくとそこには既にフィールドが出来上がっていました。
このフィールドでHADOが行われるのです。
HADOはARという技術を使い、肉眼では見えないエナジーボールを撃ち合うスポーツです。3対3に分かれ、相手(敵)にエナジーボールを当てるとポイントが入り、そのポイントの多さを競う競技となります。
準備で忙しい中、スタッフさんが競技で使うデバイスを見せてくれました。使用するのはHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)とアームセンサー。HMDはiPhone、アームセンサーはipod touchを使っています。
HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)はHADOのためにオリジナルで作られたもので、競技に適した仕様になっています。横が大きく空いているので視覚野が広くなり、HMDをつけながらもストレスなくフィールド内を動き回れます。
また装着部にはクッションが着いており、激しく動いても顔が痛くなりません。
こちらは利き腕につけるアームセンサー。
画面に表示されているのは、自分に設定されている能力です。試合前にエナジーボールの「速さ」と「大きさ」、「チャージスピード」と「バリアの強固さ」に計6Pを振り分けます。自分の戦い方やチームでの役割分担によって、自分の能力をカスタマイズできるのです。
またこのアームセンサーがプレイヤーの動きを読み取り、ゲーム中の様々なアクションを識別してくれます。手を上に挙げると「チャージ(エナジーボール5発分までストックできます)」、手を前に出すとエナジーボールが撃て、下から上に上げるとバリアが出せます。バリアは1試合に3回しか出せず、どのタイミングで出すかが勝敗を大きく分ける要因にもなります。
と、詳しく説明してもらったものの、よくイメージできなかったので、スタッフさんに実際に動いてもらいました。
キャラクターの近くに浮いているような羽みたいなのがライフで、これが全てなくなると相手に1ポイント入ります。エナジーボールの大きさによってライフの減り具合も変わります。また四角く出現した壁がバリアで、ゲージがなくなると消滅します。バリアの強固さを上げると、色が濃く頑丈なバリアが出せるようになります。
試合が終わると結果が表示されます。
もし同点の場合は、時間無制限の「オーバータイム」。先にポイントを先取したチームが勝ちのサドンデス戦です。実は今回から取り入れられた新ルールのようです。
試合の様子は、フィールドの隅っこに置かれているこのiPhoneで撮影されており、会場にいくつか設置されているディスプレイに表示されています。
ちなみにフィールドの両サイドに張られた、オシャレな壁紙。
実はただオシャレなだけではなくて、HMDがこの壁の模様を読み取って自分の位置を計測しているんだとか。確かに近くでみると、ただのデザインだけではなく、読み取りに使われると思われる斑点模様が入っています。
エピソード1~誰もがヒーローになれるのが「テクノスポーツ」
18時半になり開場すると、多くの人が入ってきました。今回はなんと80人もの人が来場したそうです。前回まで30人程度だったらしく、スタッフの方たちも大慌ての様子。
常連のグループも参加しており、チームごとに談笑しあう姿も。8~9割は男性でしたが、中には女性もいましたし、小さいお子さんの姿も。老若男女の参加者を見て、幅広い層が楽しめるスポーツだなと思いました。
開場から10分後には、準備ができた人から3人のチームを組んで試合開始。慣れている人と初心者が半々くらいでしたが、初心者にはスタッフが丁寧に使い方をレクチャーしてくれます。
小さい戦士たちもHMDをつけて大はしゃぎのご様子。大人たちに負けじと動いています。
男性が多い中、中には女性メインのチームも。
ちなみにこのチーム、HADO練習会の常連らしく動きに無駄がありませんでした。
こちらは優勝経験もある「SLAM DIVA」というグループが2対2に分かれて行った模擬戦の様子。さすがに動きが板についていますね。
このような感じで1人1回はHADOを行えるように、試合を行っていきました。
エピソード2~トーナメント戦で熱い戦いが繰り広げられる~
全員が体験した後は、希望者がチームを組んでのトーナメント戦。ほとんどが普段からチームで練習している選手ですが、中には一人ずつの参加者がその場で組んだチームもありました。
トーナメントへの参加チームは13チーム。
練習会とはいえ、他のチームと戦える数少ない機会なので、思ったよりみなさん真剣です。あちこちから戦略を練ったり、他のチームを分析している会話が耳に入ります。
トーナメントに参加している人のほとんどが、以前大会にも参加している人たちばかりなので、模擬戦とは動きのクオリティが違います。
優勝候補が敗退するなどのドラマもありながら、トーナメント戦もついに決勝戦へ。
決勝のカードは「TNW」と「性別迷子」。優勝はどちらの手へ渡るのでしょうか。
決勝を制したのはチーム「TNW」。試合後には相手を称えあう紳士のスポーツです。
エピソード2.5~死闘を制したのは若い力~
優勝したTNWに少し話を聞かせてもらいました。彼らがTNWのみなさんです。
彼らは「東京ネットウェイブ」というゲームの専門学校の生徒さんで、2016年からHADOの大会や練習会に参加しているそうです。ちなみにチーム名は学校名からとっているそう。
なんと彼らは大会や無料練習会以外ではまったくHADOの練習をしていないらしいです。強さの秘けつを聞くと、「若さですかね」と怖いもの知らずな発言も。はじめは3人だけだったチームも今や学校の友達も誘って、10人ほどのチームになっているようです。ワールドカップでも若い力が大会を盛り上げるのが楽しみですね。
エピローグ~2020年のテクノオリンピックに向けて~
以前、HADOを運営する(株)meleapの福田社長にお話しを伺った際、「誰もがヒーローになれる体験がHADO」と言っていました。話を聞いた時は、「そうなんだ」くらいにしか思っていませんでしたが、実際にHADOを間近で見てみると、その意味がより分かってきました。その時のインタビュー記事はこちらです。
スポーツと聞くと若くて運動神経がいいやつが有利というイメージがありますが、HADOでは必ずしもそうではありません。もちろん動き回れた方が、相手のエナジーボールをよけやすくなりますが、しっかり戦略を練れば誰もがヒーローになれるのです。今は20代30代のユーザーが中心ですが、子どもからお年寄りまで安全に、かつ刺激的に楽しめるスポーツだと感じました。
福田社長は2020年の東京オリンピックに向けて、「テクノオリンピック」を開催するのが目標らしいです。かつてはオリンピックを目指していた人も、オリンピックはテレビの前で楽しむ派の人も、「テクノオリンピック」で世界一を目指してみませんか?
HADOを体験できるスポット
HADOはまだまだ体験できるスポットが少なく、無料体験会も月に1度しかありません。興味のある方は、下記に体験スポットを掲載したので参考にしてください(有料です)。関東圏では埼玉と横浜にHADOスポットがあります。2017年6月13日時点の情報です。
- イオンレイクタウンmori:埼玉県越谷市レイクタウン3丁目1番地1
- ソプラティコ横浜関内:神奈川県横浜市中区若葉町1-2-2
- タイトーFステーション イオンモール浜松市野店:静岡県浜松市東区天王町1981-3 イオンモール浜松市野2F
- ハウステンボス:長崎県佐世保市ハウステンボス町1−1
また私が今回参加した無料体験会の次回の日程は下記の予定のようです。
日時:7月14日(金)18:30
場所:虎ノ門ポニーキャニオン本社1F
住所:東京都港区虎ノ門2-5-10[地図]
都合の合う方は是非参加してみてください!