スマートフォンなどのディスプレイをミラーリング出力できるMiracastやGoogle Cast、AirPlay。これらは以下の記事で紹介しているような動画配信サービスをテレビの大画面で映して見たい場合にも重宝します。

この記事ではMiracastの説明をGoogleのGoogle Cast、AppleのAirPlayとの比較を交えて書いてみます。
Google Cast
まずGoogle Castですが、こう書くと何のことだかわからないかもしれませんが、要するにChromecastで利用してる送信方式のことです。
機種によっても対応は異なるのですが、Android 4.4.3以降ではクイックメニューに「画面のキャスト」(Android 6.0では「キャスト」)という項目が追加されているので、Chromecastを使ったことはなくてもこのメニューを目にした人は多いんじゃないでしょうか。
特徴
Google Castは画面全体を送信することがメインの機能ではなく、機能やアプリ毎に送信するのが特徴です。このため、端末がGoogle Castに非対応(画面のキャストに非対応)だとしても、対応したアプリからは送信できます。
端末内にあるコンテンツをストリーミングするだけではなく、WEB上にある動画などはGoogle Cast対応デバイス(Chromecastなど)自身に再生させることも可能です(YoutubeやHuluなど)。
そして、Google CastはAndroidを搭載したスマートフォンやタブレットだけではなく、WindowsやMacなどマルチOSで利用できるChromeブラウザでも拡張機能をインストールすると利用することができます。
このChromeブラウザの拡張機能としてのGoogle castですが、以前はPC全体の画面をキャストすることもできたのですが最近のバージョンではできなくなってしまいました。
※追記:現在は拡張機能をインストールする必要がなくなっています。
対応デバイスは少なめ
Google Castは開発キット(SDK)が公開されているため、サードパーティ製のアプリでも対応しているものが多く、iPhone / iPad向けにもChromecast用アプリがリリースされています。しかしながら、肝心の受信側デバイス(表示側のデバイス)は少ないです。
2015年10月時点で日本で購入できるデバイスは、以下の3つのみとなっています。
- Chromecast
- Nexus Player
- Sony ブラビア(Android TV)
ただ、Android TVは今後対応機種が増えてきそうな感じです。
AirPlay
AirPlayは、iTunes10から採用されたAppleの規格で、iPhoneやiPadなどで再生している音楽や動画をApple TVなどAirPlay対応機器を使ってストリーミング再生することができます。
イメージ的にはGoogle CastのApple版(正確にはGoogle CastがAirPlayのマネだとは思いますけど)といった感じです。
特徴
iPhone、iPad、MacなどAppleのデバイスであれば、ほぼ利用することが出来ます。Appleはソフトもハードも自社で作っているので、この辺の互換性というか対応はさすがですね。ただ、古いmacbook Airなどではデスクトップのミラーリング表示(送信)には非対応のものもあるようです。
Apple専用ながら対応デバイスは多い
AirPlayはAppleが作っている規格だけに、送信側で利用できるデバイスはAppleの製品のみとなっていますが、受信側はApple TVのほか、映像は受信できないもののワイヤレススピーカとして利用できるものがいくつか発売されています。
また、最初に書いた通りiTunesがAirPlayをサポートしているため、MacやWindowsにインストールしたiTunesから動画や音楽をワイヤレス再生することもできます。
あと、公式ではないのですが、AirPlayに対応したアプリケーションもいくつかリリースされています。これはAndroid端末にインストールすることでAndroidからAirPlayの送信が行えたり、受信側になれたりするというものです。Androidだけでなく、MacやPCを受信側として利用できるものもあります。
AmazonのFire TVもアプリを入れればAirPlayの受信ができ、iPhoneの画面をミラーリング表示することが可能です。
Miracast
GoogleやAppleといった企業が規格を作っているGoogle CastやAirPlayと違い、Wi-Fi Allianceという団体が規格を作っているのがMiracastです。Wi-Fi Allianceという団体になじみがない人でもWi-Fiのロゴは見たことがあるはず。ようするに無線LANの規格を決めてるところです。
特徴
Google CastやAirPlayとは違い、アプリ毎の送信ではなく画面そのものを送信するのがMiracastの特徴です。
動画を大画面で見たいからMiracastを使う、ということももちろん可能ですが、どちらかというとワイヤレス接続のディスプレイというイメージのほうが強いです。
また、Google Castがデバイス毎の対応ではなく、アプリが対応していれば利用可能なのに対し、Miracastはデバイスそれ自身が対応してないと利用できないというのも大きな違いです(これ、間違いかもしれませんが、少なくともアプリだけで送信側になれるものは見つけられませんでした)。
対応デバイスは豊富
デバイスが対応していないと利用できないと書きましたが、Wi-Fi Allianceという団体が決めた規格だけに、対応デバイスは多いです。
スマートフォンではAndroid 4.4からMiracastが標準対応となり、Windowsも8.1以降ではMiracastをサポートしています。
受信側についても、市販されているものがいくつかあり、Amazonなどで検索すると数種類見つかるはずです。先日発売になったAmazonのFire TV / Fire TV StickもMiracastの受信に対応しています。
他にもシャープの液晶TV アクオスの一部モデル、EPSONのヘッドマウントディスプレイ MOVERIO BT-200など、ほんとうにバリエーションが豊富です。
注意点
Miracastでは送信側と受信側がWiFiを1対1で接続するのですが、その弊害としてMiracastを利用中だとWiFiが使えないというデバイスも存在します。最近のデバイスではあまり問題ないようですが、少し古めの端末では注意が必要です。例えば、 Xperia Z Tablet(WiFiモデル)はMiracast利用中はWiFiが利用できなくなりました。
また、現時点での対応デバイスは豊富なのですが、Androidでは最近Miracastに非対応なものが増えてきています。nexus 6やnexus 9、発売されたばかりのnexus 5Xや6Pも非対応のようです。
Windowsではサポートしていても、実際に使えるかどうかはハードメーカにゆだねられています。ちなみにMicrosoftのSurface Pro 3はMiracastに非対応でした。
最後に、汎用性を持たせているが故なのか、Google Castと比べると接続までの反応が遅かったり、動作が不安定になったりすることもあります(これはデバイスの問題だとは思いますが)。
まとめ
そんなわけで、Google Cast、AirPlay、Miracastの特徴をざっくりとまとめてみましたが、今後Miracastはやや厳しくなるのかなという印象がありますね。やっぱりスマートフォンを押さえているGoogle Cast、AirPayが使いやすいです。
ディスプレイのワイヤレス接続にはほかにもintel WiDiというMiracastに似た規格というか包含したような規格もあるのですが、ここでは割愛しています。
結局どれがいいのか?ですが、上でも書いた通り、使っているスマートフォンに合わせるのがベストでしょう。AndroidならChromecastやNexus Player、iPhoneならApple TV(もしくはアプリをインストールしたFire TV)。
Nexus PlayerやApple TVなどのセットトップボックスならアプリをインストール(Nexus PlayerならAirReciver、Apple TVならAllCast)することでどちらも接続できるので、迷ったらこれを購入するのがいいかもしれません。