最近「SIMフリー」ってよく聞くけど何?よく分からない…という方も多いと思います。
「SIMフリー(シムフリー)」とは「SIMロックがかかっていない状態」のことです。
「SIMロックって何?プロレス技?」という声が聞こえてきそうです。
この記事では、そんな方々のために、今更聞けない「SIMフリー」の全てを分かりやすく説明していきます。また、混同されがちな「白ロム」「格安スマホ」「格安SIM」との違いも解説しています。
SIMフリーを理解し、複雑な携帯業界から解放され、ストレスフリーなスマホ生活を手に入れて下さい。
SIMフリーとは?
「SIMフリー(シムフリー)」とは、どこの会社のSIMカードでも使える端末のことです。「SIMが『自由』に使える」ということから、「SIMフリー(端末)」と呼ばれています。
SIMフリーという言葉は、「SIMフリースマホ」のように「スマホ」に関連して使われることが多いですが、タブレットやガラケー、モバイルルーターにも使われます。この記事ではSIMフリー「スマホ」を中心にお話ししますが、考え方は基本的に一緒です。
SIMフリー端末であれば、後に紹介する格安SIMも使えるようになりますし、海外に行った際に現地のプリペイドSIMも使えるようになり、SIMの幅が広がります。
そもそもSIMカードとは?
そもそもSIMって何?という方も多いと思います。SIMフリーを理解するには、「SIMカード」について理解する必要があります。
SIMとは、端末に挿す「SIMカード」の略で、以下のようなICチップのことです。
SIMカードの正式名称は、「Subscriber Identity Module Card」。日本語に直すと「加入者を識別するカード」ということになります。
端末だけでは通話やデータ通信はできません。端末にSIMカードを挿すことで始めて、通話やデータ通信が行えるようになるのです。
SIMフリースマホでも使えないSIMカードも中にはある
SIMフリー=全てのSIMが使えると書きましたが、正確には正しくありません。ケースは少ないですが、中には例外もあります。
実はSIMカードのサイズには「nano SIM」「micro SIM」「準(mini) SIM」の3種類があります。
SIMフリー端末でも、SIMカードのサイズが端末に合っていないと使えません。端末が対応しているSIMカードのサイズは「端末名 SIMカード サイズ」等と検索すれば簡単に分かります。
万が一SIMのサイズを間違えてしまっても、以下のアイテムを使えば、SIMカードのサイズを調整できます。ただし、どちらを使ってもSIMが動作しないリスクがあります。
- SIMカッター:大きいSIMカードを切断して小さくする
- SIMアダプター:小さいSIMカードを型にはめて大きくする
また、数は非常に少ないですが、SIMフリーの端末でもSIMカードの相性によっては、動作しない場合があります。SIMを提供しているサービスHPにはだいたい「動作確認端末一覧表」があるので、SIMカードを契約する前に自分が使いたい端末で使えるか確認しておきましょう。
大手携帯キャリアと「SIMロック」の関係
「SIMフリー」とは「SIMロック」のかかっていない状態とも言えます。なので「SIMフリー」と「SIMロック」はある意味で対義語です。ここでは大手携帯キャリアとSIMロックの関係を説明します。
大手携帯キャリアで契約したスマホは「SIMロック」がかかっている
大手携帯キャリアでスマホを契約する場合は、ショップの店員さんがSIMカードを端末にセットした状態で渡してくれます。なのでキャリアユーザーの中にはIMカードを見慣れていない方も多いと思いますが、実は全てのスマホにSIMカードが入っているのです。
そして、大手携帯キャリアで契約した端末には、自社のSIMカードしか使えないようにする「SIMロック」がかかっています。例えば、ソフトバンクで契約したスマホ端末には、ソフトバンクのSIMロックがかかっているため、ソフトバンクのSIMカードしか使えません。
SIMロックは顧客を囲い込むための日本特有の文化
では、大手携帯キャリアはなぜ、わざわざ端末にSIMロックをかけているのでしょうか?
それは、顧客の囲い込みをするためです。
実はSIMロックは日本特有の文化です。海外では「端末」と「SIM」を別々に契約するのが一般的ですが、日本では大手携帯キャリアによる「端末」と「SIM(月額プラン)」のセット販売が主流です。
端末にSIMロックをかければ、ユーザーは自社以外のSIMを使えません。これにより、端末に「自社のSIMカードしか使えない」という制限をかけているのです。
また、大手携帯キャリアは「2年縛り」と呼ばれる2年契約が一般的ですよね。2年以内に解約をすると違約金が発生します。また、端末に毎月割をかけることで、2年以内に解約すると割賦の残債が発生します。2年縛りは「プラン」と「端末」の両方に制約を課しているのです。
この「SIMロック」+「2年縛り」のコラボが大手携帯キャリアの最強の囲い込み戦略となっていたのです。
SIMロックは緩和の流れに
この問題に対して総務省は「利用者の自由を妨げている」と問題視し、2015年5月から大手携帯キャリアにSIMロック解除を義務化しました。
そのため現在は、条件を満たした端末であれば簡単にSIMロックの解除ができるようになり、大手携帯キャリアで契約したスマホでも、SIMフリー端末として利用できるようになりました。※ただし2年縛りは残ります。
SIMフリースマホの入手方法
ここではSIMフリースマホの入手方法を3つお伝えします。
①キャリアスマホをSIMロック解除してSIMフリー化する
先ほども説明したように、大手携帯キャリアで契約したスマホでも「SIMロック解除」=「SIMフリー化」をすれば、その端末はどんなSIMカードを挿しても使えるSIMフリースマホに変貌します。
キャリアのスマホをSIMフリー化しておけば、大手キャリアの2年契約が終わった後に格安SIMに乗り換え、毎月の通信料金を安く抑えることも可能です。
各キャリアのSIMロック解除条件や方法は別記事でまとめています。
②最初からSIMフリーの端末を購入する
また、”最初からSIMフリー”のSIMフリースマホも売っています。むしろ、大手キャリアでセット契約(購入)したスマホ以外の、端末単独で売られているスマホは、ほとんどがSIMフリー端末なのです。
Appleで売っているiPhoneはSIMフリーのiPhoneですし、SIMフリーのAndroidスマホは、家電量販店やAmazon等のネット上の様々なECサイトで購入できます。MVNOで格安SIMとセットで購入できるスマホもSIMフリーなので、格安SIMと合わせて購入することもできます。
またSIMフリースマホを購入できるのは新品だけではありません。、中古スマホの中にはSIMロック解除済みのも多いので、中古携帯市場で探すという方法もあります。
③海外のSIMフリー端末を購入する※技適マークに注意
SIMフリーの端末を手に入れるには海外の端末を購入するという方法もあります。Amazon等では同じ機種でも、海外版の方が日本版よりも安く売られていることもあります。
ただし、海外版のスマホを購入する際に注意したいのが「技適マーク」です。海外の端末は日本の技適マークが付いていないケースがあります。
技適マークが付いていない携帯電話を国内で使うと違法になる可能性があります。
技適マークが付いていない無線機は、「免許を受けられない/違法になる」恐れがありますので、無線機を購入・使用する際は十分ご注意下さい。
総務省 電波利用ホームページ | 携帯電話
なので、海外のSIMフリー端末を購入する時は、購入前に技適マークが付いているかを確認しましょう。
ジャンル別SIMフリー端末の現状
ここからはスマホをさらに「iPhone」と「Android」に分解し、さらにタブレット・ガラケー・モバイルルーターについてもSIMフリー端末の現状をお伝えします。
各端末の種類や価格については、価格.comの製品情報や家電量販店での販売状況を元にまとめました。
SIMフリーのiPhoneは高い
日本でスマホと言えばiPhone。SIMフリーのiPhoneが気になっている方は多いと思います。また、iPhoneは好きだけど、大手携帯キャリアの「SIMロック」や「2年縛り」が嫌という人も多いでしょう。
SIMフリーのiPhoneはApple Store店舗や公式HPから購入できます。ただし、高いです。新品の最新SIMフリーiPhoneは超高価です。2017年10月現在のApple公式HPにおけるSIMフリーiPhoneの価格(税別)は以下の通りです。
32GB | 64GB | 128GB | 256GB | |
---|---|---|---|---|
iPhone X | 112,800円 | 129,800円 | ||
iPhone8 plus | 89,800円 | 106,800円 | ||
iPhone8 | 78,800円 | 95,800円 | ||
iPhone7 plus | 74,800円 | 85,800円 | ||
iPhone7 | 61,800円 | 72,800円 |
これまでキャリアを使っていた方は驚いたのではないでしょうか。日本の場合、大手携帯キャリアでiPhoneを契約すれば、キャリアが毎月の料金を割引してくれるので、端末代金の負担がかなり軽くなっているのです。これが日本でiPhoneが大人気の理由のひとつです。詳しくはこちらをご覧ください。
SIMフリーiPhoneについてさらに詳しく知りたい方は別記事をご覧ください。
こちらの記事ではSIMフリーiPhoneのメリット・デメリットをまとめています。
SIMフリーのAndroidスマホは種類が豊富
「SIMフリーのAndroidもiPhoneと一緒で高いの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、SIMフリーのAndroidは種類が豊富なので、7,000円で買える安い端末から、9万円以上高い端末までたくさんあります。iPhoneに比べるとSIMフリーのAndroidスマホは選択肢が多いですね。
こちらの記事ではAndroidを中心に、最新のオススメSIMフリースマホ端末を11機種紹介しています。
タブレットはWi-Fi専用モデルに注意
スマホより大きな画面のタブレット。タブレットも大手携帯キャリアで契約したものはSIMロックがかかっています。スマホと同じく条件を満たせば、SIMロック解除は可能です。
最初からSIMフリーのタブレットはAndroidスマホと同じく、家電量販店やネット上のECサイトで購入できます。タブレットも現在では60以上の種類があり、本体価格の相場は2万円~5万円です。
SIMフリーのタブレットは、スマホのようにSIMカードとWi-Fiの両方が使えます。しかし、タブレットの中にはSIMカードが挿せずWi-Fiでしかデータ通信が使えない「Wi-Fi専用モデル」という機種があります。「Wi-Fi専用モデル」を購入してもSIMカードが挿せないので、SIMフリーのタブレットと間違えて購入しないように注意しましょう。私は昔、SIMフリーモデルと間違えて「Wi-Fi専用モデル」を購入して悲しい思いをしました。
タブレットのスペック表に「SIMカードのサイズ」や「SIMカードスロット」についての記載があればSIMフリーのタブレット、記載がなければ「Wi-Fi専用モデル」のタブレットです。
SIMフリーのガラケーは2機種のみ
ガラケーも大手携帯キャリアで契約した機種はSIMロックがかかっています。ガラケーもスマホと同じように条件を満たせば、SIMロックを解除できます。
最初からSIMフリーのガラケーに至っては、ほぼ売られていません。私が調べて見つけられたのは以下の2機種のみでした。
- シャープ: SH-N01
- プラスワンマーケティング: FREETEL Musashi
SH-N01はガラケーにスマホの機能を追加した「ガラホ」と呼ばれる機種です。「ガラホはガラケーとスマホの中間の存在」とも言われますが、今回はガラケーとして分類しました。
SIMフリーモバイルルーターは20種類以上売られている
モバイルルーターも大手携帯キャリアやワイモバイルで契約した端末にはSIMロックがかかっています。モバイルルーターも条件を満たせばSIMロック解除可能です。
WiMAXのモバイルルーターはSIMロックはかかっていません。ただ「UQ WiMAX以外のSIMカードでの動作確認ができておらず、故障の原因になるので他社のSIMカードは使用しないでください」とUQ WiMAXのオペレーターさんに言われました。WiMAXのモバイルルーターをSIMフリーのモバイルルーターとして使うのは難しいようです。
最初からSIMフリーのモバイルルーターは、20以上の種類が家電量販店やネットで販売されています。
端末価格の相場は1万円~2万円です。端末によって動作時間と最大通信速度に差があります。1回の充電で4時間しか動作しない機種から、10時間以上動作する機種まであります。下りの最大通信速度は端末によって、150Mbps~300Mbpsと開きがあります。上りの通信速度はほとんどの端末で50Mbpsです。
「SIMフリー」と「白ロム」「格安スマホ」「格安SIM」の違いとは?
「SIMフリー」と「白ロム」「格安スマホ」「格安SIM」の違いがよく分からず、混同して錯乱している方も多いと思います。この章ではそれぞれの違いを解説します。
「白ロム」とはSIMが入っていない端末のこと
白ロムとは、SIMカードが入っていない状態のことを指します。なので、SIMカードが入っていない端末は「白ロム端末」と呼ばれます。
- SIMフリー(端末):SIMロックがかかっていない状態(端末)
- 白ロム(端末) :SIMカードが入っていない状態(端末)
「白ロム」は中古携帯市場でよく使われる言葉です。誰かが大手キャリアで契約したスマホを買取業者に売る際はSIMカードは抜かれます。そして、端末はSIMカードが入ってない状態(白ロム)で中古市場に出回ります。ほとんどの場合「白ロムスマホ」=「中古スマホ」という意味で捉えてOKです。
なので、SIMロックが解除された中古スマホは「SIMフリーの白ロム端末」になります。
「格安スマホ」とは価格が安いスマホ端末のこと
「格安スマホ」とは、その名の通り、価格が安いスマホ端末のことです。格安スマホのほとんどはAndroidです。
- SIMフリースマホ:SIMロックがかかっていないスマホ端末
- 格安スマホ :価格が安いスマホ端末
例えば、Appleで直接購入した最新のiPhoneなんかは、「格安スマホじゃないSIMフリー端末」です。逆に、大手キャリアで契約した安いスマホは、「SIMフリーじゃない格安スマホ」とも言えます。
また、「格安スマホ」という言葉は「毎月の通信費を安く済ますこと」という意味で使われたりもします。この意味では「格安スマホ」は端末という「モノ」のことではなく、「大手キャリアから格安SIMへ乗り換え、毎月のスマホ代”を含めた”通信費を安く済ませる」という「状態」や「変化」を指します。やっかいですね。格安SIMについては次で説明します。
「格安SIM」とは月額料金が安いSIMのこと
格安SIMとは、毎月の利用料金が安い”SIMカード”のことです。安い”SIMカード”と言われてピンとこない方は、「格安SIM」=「毎月の料金が安い携帯のプラン」と置き換えて下さい。また楽天モバイルやmineoといった「格安SIM”事業者”(MVNO)」のことを「格安SIM」と略して呼ぶこともあります。
なので、「格安SIM」は、安い「SIMカード」、安い「毎月の携帯プラン」、安い「携帯事業者」の3つの意味で使われています。
- SIMフリースマホ:SIMロックがかかっていないスマホ端末
- 格安スマホ :価格が安いスマホ”端末”
- 格安SIM :毎月の料金が安いSIMカード(月額プラン)
格安SIMについてはこちらに詳しく書いています。
まとめ:SIMフリー化によって大手携帯キャリアの料金は下がるのか?
SIMフリーについてお伝えしました。
数年前までは、大手携帯キャリアのスマホをSIMロック解除できなかった上に、購入できるSIMフリー端末も少数でした。
しかし、2017年5月31日に総務省が発表したデータによれば、2016年に発売された端末の98%以上がSIMロックを解除できる端末やSIMフリー端末となっています。
2016年度において発売された端末の種別数56のほぼ全て(98.2%)がSIMロック解除可能な端末及びSIMフリー端末となっている。電気通信市場の分析(中間報告) | 総務省
さらに、SIMロックの解除条件が「購入から180日以内」から「購入から100日以内」に短縮されるなど、SIMフリー端末はますます身近な存在になっています。
大手携帯キャリアは、顧客の囲い込みが難しくなってきています。また、多くの格安SIM事業者も台頭してきています。今後、大手携帯キャリアの利用料金が上がるのか下がるのか注目していきましょう。